近現代

アジア学叢書 353巻 アラビア奥地行

アジア学叢書 353巻 アラビア奥地行

著者: W・B・シーブルック/訳者:斎藤大助

発行年月:2021年12月

原本:大和書店、1943・昭和18 年刊。
写真・図72点収載。原著者W.B. Seabrook (1884-1945)は、原始民族特に宗教を研究したアメリカ人作家。本書(1927 年刊)、アラビア北部辺境地帯の調査・探索は1925 年になされた。「著者の観察の焦点は、あくまで宗教に在るのであって、民族運動と称するが如き政治面は一切これを押し殺している(訳者序)」の通り、強盗、武器、沙漠、城壁、遊牧、駱駝、騾馬、山羊、騎馬、商隊、テント、食事、絨毯、礼拝、キリスト教論、托鉢僧、巡礼、裁判、刑罰、婦人、出産、子供、祭、アラビア語、詩歌…現地人との会話が豊富に挿入されて、回教・イスラム的世界が眼前に生き生きと展開され、古びない記録となっている。

アジア学叢書 352巻 樺太風物抄

アジア学叢書 352巻 樺太風物抄

著者:谷内尚文

発行年月:2021年12月

原本:七丈書院、1944・昭和19 年刊。
著者自筆絵12点収載。著者は北陸(富山)出身の画家・美術教師(と推測される)で、樺太に在住。昭和19 年時点で樺太には約40 万人の邦人が生活していた。北方寒地での日常の暮しぶりが、適切な背景説明(歴史・地理等)と芸術家的感性をもって肌身に伝わってくる描写の読みやすい文章で綴られた好風物記。

アジア学叢書 351巻 南太平洋踏査記

アジア学叢書 351巻 南太平洋踏査記

著者:秋本貫一

発行年月:2021年12月

原本:日比谷出版社、1943・昭和18年刊。
写真104点、折込1点(南太平洋地図)収載。昭和15 年(1940)11 月から翌年元旦まで約2 ヶ月の南洋諸島実情調査の記録。1941 年12 月、大東亜戦争勃発
を機に、南洋群島に四半世紀在住し、現地と在留邦人の消息に通じていた経験をもとに、あまりに「知らない内地人」のためにあえて筆をとった。

アジア学叢書 350巻 南洋景観

アジア学叢書 350巻 南洋景観

著者: 高宮久太郎

発行年月:2021年12月

原本:八雲書林、1940・昭和15 年刊。
写真・図31点収載。「本書は或る固い雑誌のいわば埋草用(…)の集積を基にしたのであるから、叙述の筆は外面的な聞見の平明な説明に終始し又一貫した趣意にも乏しいが、その代り主観的な臭みと体系的な硬さとは出来るだけ遠ざけたつもりである。群島を知ろうとする向に、ほんの手引ともなれば幸である。」しかし「孫びきの説明や中味のない概念を出来るだけ排除して、素直に見たまま聞いたままを記そう」の精神で書かれている。いわゆる委任統治領・内(裏)南洋の諸島を紹介する。

アジア学叢書 349巻 インドネシアン 蘭印の実体

アジア学叢書 349巻 インドネシアン 蘭印の実体

著者:竹井十郎

発行年月:2021年12月

原本:岡倉書房、1941・昭和16 年刊。
写真17点収載。「邦人は蘭印の土人というが、土人という言葉が、もし「土地の人」の意であるなら、吾々日本人も、日本の土人と呼ぶべきであろう。しかも天下誰一人、吾人を日本の土人と呼ぶものはない。けだし土人という言葉は、未開野蛮人の意に於て使われて居るからである。この一事を以てするもいかに邦人が民族に関する知識なく、民族研究の要が、いかに尊いものであるかを知らぬ証左であろう。」…日本人と戦争とアジア・民族と、一色で塗りつぶせる「歴史」はないことを思わせる貴重な民間人の研究。明治39 年(1906)東印度に渡りインドネシア人の生活圏内に入り23 年間、直接触れた経験をもとに、「同胞日本人」に向け、もっと知れと啓発を促す民族研究の成果。

アジア学叢書 348巻 カメラとペン 蘭印踏破行

アジア学叢書 348巻 カメラとペン 蘭印踏破行

著者:渋川環樹

発行年月:2021年12月

原本:有光社、1941・昭和16年刊。
写真160点、折込地図2点(著者蘭印踏破コース、蘭領東印度全図)収載。著者は記者で、執筆時は読売新聞特派員、シンガポール支社長(のちジャカルタ支局長)。第二次世界大戦が激しさを増す中、1940 年8 月から4 ヶ月間、オランダ領東印度を巡った見聞記。おびただしい数の写真が臨場感をもって当時の風物・生活の姿をいまに残している。人々との会話・談話も豊富、記者らしい読みやすい文章で、場面、当時の背景情報と軽快に話が展開する。

アジア学叢書 342巻 満洲野生食用植物図説

アジア学叢書 342巻 満洲野生食用植物図説

著者:向坂正次

発行年月:2020年10月

原本:千葉書店 1942・昭和17年刊。
(著者)「時には必要にせまられ、時には自らの希ひから、山野に出入して、草を摘み、茸を採り、持ち帰つては、料理した、植物の手すさびが、もう三百に余る程になりました。…野に山に、食用の植物を探ねると言ふことを、生理、経済といふ功利の面からだけでなく、懐かしい生活の古典として反省し、之を活かして、若菜、山菜の氷雪を凌いで大地に息吹く強烈な生命力と、霜にねられて更に充実する完成の力とを、お互の生活の上にも活かしたいものです。」
端正な手書き図版〈全259 点〉に、植物学的記述と、「食用」の観点から処理方法などの注釈を加える。

アジア学叢書 341巻 満洲食養読本 大陸日本の正しい食物/満洲の薬用人参

アジア学叢書 341巻 満洲食養読本 大陸日本の正しい食物/満洲の薬用人参

【満洲食養読本 大陸日本の正しい食物】桜沢如一著/【満洲の薬用人参】篠田信二著

発行年月:2020年10月

【満洲食養読本 大陸日本の正しい食物】
原本:日本食養研究所・1939・昭和14年刊。
著者は「マクロビオティック(食養)」の提唱者。著書・翻訳多数、世界各地を駆け巡る。満洲で生きるための食を食養の観点から論破する特異な書。

【満洲の薬用人参】
原本:発行人・篠田信二・1930・昭和5年刊。
(著者)「薬用人参に就ては医、薬学界に於ける専門的論文は既に数十編の多きに達し、而かも人参論文を以て博士号を授けられたる者尠なからざれども、不幸人参産業の指針とすべき著書は未だ世界に見出すこと能はず、此処に於て著者は起業数年間調査並に研究せし記録及び実際経営の結果より得たるものを纏め一小冊子となし、以て斯業者及び起業家の為め参考の資料に供せんと欲す。」国内機関所蔵が殆んどない稀覯書。

アジア学叢書 340巻 満洲料理法 一品料理の部

アジア学叢書 340巻 満洲料理法 一品料理の部

著者:佐藤美智子・小原楓

発行年月:2020年10月

原本::満洲事情案内所・1942・昭和17年刊。
著者(東京女子高等師範学校家事科出身)「私共は多年此の地の女子教育に従事して参りました関係上、いつかは満洲料理を日本に紹介する機も来らんかと、ポツポツ研究をつづけてまいりました。満洲料理は、経済的で栄養的で変化応用も自在、味覚の満足も相当に得易い点に於て庶民階級の食生活に対する必須条件を良く備へてゐる様に存じます。」

アジア学叢書 339巻 随園食単新釈補填 支那料理基本智識

アジア学叢書 339巻 随園食単新釈補填 支那料理基本智識

編著者:竹田胤久

発行年月:2020年10月

原本:陶楽荘・1938・昭和3年刊(改訂再版)。
中国料理書の古典=バイブルと称される(フランスのサヴァラン『美味礼讃』と並べ東の代表とも)、袁枚(えんばい)の料理書(1792年刊)の翻訳。雑誌「料理の友」編集長で料理に詳しい訳者が、初めて原文を併記し、随所に実際的注釈を加えて一般に分かりやすいように訳した。