シリーズ福祉に生きる65 奥村多喜衛

シリーズ福祉に生きる(企画編集:津曲裕次・一番ヶ瀬康子)

著者:中川芙佐

発行年月:2013年12月(大空社刊)

価格:2,200円(本体2,000円+税10%)

ISBN:978-4-283-00599-0

体裁:B6判・238頁・並製・カバー装

特記:(英訳版)Takie Okumura A Life Lived in Service to Japanese in Hawaii(Fusa Nakagawa著/ Kenneth Paul Reddington訳、B6 判186頁、978-4-283-01314-8、1,200円+税、2015年6月、大空社)も刊行された。

シリーズ福祉に生きる65 奥村多喜衛

(おくむら・たきえ 1865・慶応元~1951・昭和26年) 土佐国(現・高知県安芸郡田野町)生まれ。高知中学(現・高知追手前高)に学び、土佐自由民権運動を経て、同志社神学校卒後、1894(明治27)年にハワイに渡り、ホノルルで亡くなるまで、日本人移民と日系人のために働いたキリスト教伝道者。…第二次大戦前後には日米平和のために働き、真珠湾攻撃の窮地に身をおきながらも、日米の間に立ち、打開策を打ち出してゆく「国際福祉」の先駆者であった。

1940年頃、ハワイ総人口の40%を占めていた日系人(2011年、17.51%)。ハワイでは、1885(明治18)年から1924(大正13)年、日本人移民が禁止されるまで、多くの世代にわたる超巨大な日本(系)人社会が構成されていた。…奥村はまず、日本人社会の基盤作りから始めて、〈排日〉という差別に立ち向かうため、米国人と対等に生きる日系人を育成した。1932(昭和7)年、高知城を模した教会堂・マキキ聖城基督教会を建て、ホノルル市民をアッと言わせた。全米最大の日系教会として、時代に即した役割を果たした。

(目次より)
序 日本国の窮乏とハワイ移民
ハワイ移民の生活問題

第一章 自由民権運動からハワイ伝道へ
1 高知時代
高知初の学生運動
2 三大事件建白運動
自由民権運動と基督教伝道/上阪と結婚後の混乱/三大事件建白運動
3 クリスチャンとして生きる
大阪教会で受洗/同志社神学校/ハワイ移民とキリスト教/海外伝道の夢
4 ハワイ渡航
ハワイに上陸/ハワイ革命

第二章 日本人社会の建設へ向けて
1 日本人の教育機関
ホノルル日本人幼稚園/日本人小学校/社会人教育
2 日本人寄宿舎(奥村ホーム)
日本人寄宿舎/クリスチャンホーム/教育という財産
3 日本人慈善病院
日本人慈善会の沿革/日本人慈善会の復興/日本人慈善病院の設立
4 暗黒街掃蕩運動
日本人売春婦/ホノルル・ダウンタウン/英字新聞からの攻撃/ホノルル・ダウンタウンの大火/新売買春街の誕生
5 家族
家族呼び寄せ/奥村カツ

第三章 排日の嵐の中で
1 日本人YМCA
新YМCA会館建築計画/渋沢栄一との出会い
2 二〇世紀初頭のハワイ社会
仏教系学校への風当たり/伏見宮記念奨学会/日本語学校問題とストライキ/賀川豊彦との対決
3 米化運動「排日予防啓発運動」
調和と融合/V・S・マックラッチーとの対決
4 「排日移民法」

第四章 太平洋の架け橋に
1 「日系市民会議」
日系人は二流市民か
2 ハワイの高知城
マキキ教会創立/お城の教会堂/マキキ聖城基督教会第二期工事
3 第二次世界大戦
―全日本(系)人の米国大陸移送の風評
4 日米融和のラジオ放送
5 別れ―日本行きの夢

引用参考文献・年譜

【著者紹介】
(なかがわ・ふさ)高知市生まれ。同志社女子大学学芸学部卒、高知県立大学大学院などで学ぶ。米文学・アジア系アメリカ文学研究を経てハワイ日系人史研究に入る。社会福祉学博士。高知大学非常勤講師。奥村多喜衛の精神と活動を継承する「奥村多喜衛協会」会長。女性教育者の国際組織「デルタ・カッパ・ガンマ・ソサエティー・インターナショナル」(創立1929年、本部米国テキサス州)の初代日本代表(刊行当時)。

【編者紹介】
(つまがり・ゆうじ)長崎純心大学大学院教授、高知女子大学名誉教授、筑波大学名誉教授。専攻は知的障害者施設史。
(いちばんがせ・やすこ)日本女子大学名誉教授。専攻は高齢者・児童・障害者福祉等、社会福祉全般。

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