シリーズ福祉に生きる62 髙江常男

シリーズ福祉に生きる(企画編集:津曲裕次・一番ヶ瀬康子)

著者:佐藤勝彦

発行年月:2012年12月(大空社刊)

価格:2,200円(本体2,000円+税10%)

ISBN:978-4-283-00596-9

体裁:B6判・226頁・並製・カバー装

特記:アニメ映画化「明日の希望―高江常男物語―」(山田火砂子監督・現代ぷろだくしょん製作・2012年)/ラジオドラマ化「ほっかいどう百年物語」「明日に橋をかけた男〜高江常男物語」(STVラジオ・2011,2012年)

シリーズ福祉に生きる62 髙江常男

(たかえ・つねお 1927・昭和2~2007・平成19) 「身体障害者が社会の中で孤立する事なく、自立して働きたいと願う者には、そのための施設や職場等、雇用の場を確保する事である。その雇用の道が閉ざされている現実を打開するためには、身体障害者の自活の道を自分たちで切り拓いて行くしかない。障害者が生活できるだけの賃金を支払える授産事業を目指すべきだ」右眼両腕を失いながら人生に挑み続けた男に、福祉の実践を学ぶ。

髙江常男 北海道芦別村(現・芦別市)生まれ。事故で10歳で右眼を、19歳で両腕を失いながらも、口にペンをくわえて字を書くことに光を見出し、ローカル紙の記者となった。「自分たちのことは、自分たちで解決するより仕方ない」と、自立した収益性のある企業授産論を実践。授産事業として、障害者が働くクリーニング工場を主体とした社会福祉法人北海道光生舎を創業。北海道赤平市を拠点に、障害者の就労支援施設を数多く展開。グループ全体で利用者・従業員併せて1,400人に達する、道内はもとより日本一の障害者授産施設とした。

(目次より)
第一章 生いたち 炭坑町での青春時代
父、権蔵の流転生活
貧しかった少年時代
腕白少年、片目を失う
奥尻島の伯父宅へ養子に出る
母の死、そして就職
電気主任の資格を目指して
赤平を飛び出して青春を謳歌

第二章 両腕切断による絶望のどん底から希望へ
高圧電線に感電
両腕切断し救われた命
苦闘の入院生活
赤平でのダルマ人生
口で字を書くことを体得
二年間の共産党入党
文学への傾倒
新聞記者への道
NHK報道特賞を受賞
社会の矛盾を見つめて福祉に開眼

第三章 結婚と企業授産へ
妻との出会い、そして結婚へ
身体障害者福祉協会設立と病院売店の権利獲得
授産事業計画への胎動
選んだ仕事はクリーニング業

第四章 社会福祉法人・光生舎の始動
クリーニング業への取り組み、八方ふさがりの中で
救いの神は再び労働金庫
北海道労働金庫本店での融資審査
紆余曲折の門出
社会福祉法人格取得作戦
早期認可のための次の一手
わが子の誕生
寮長を任せた妻との二人三脚
機械設備の積極投入と営業網の拡大
病院基準寝具委託業務第一号

第五章 ユートピア建設への挑戦と挫折
身体障害者のユートピア建設への野望
障害者福祉の先駆け、コロニー建設の事業計画
土地の取得と整地
「リハビリー・クリーナース」の建設
コロニー建設用地買収作戦
重度身体障害者授産施設「リハビリー・エイト」の着工
「北海道リハビリー」の危機と再建への苦渋の選択

第六章 光生舎の再建と理念の継承
光生舎の再生に向けた財政健全化計画
札幌進出と創業一五周年(舎是・舎歌の制定)
企業授産達成宣言
石油パニックの試練を乗り越えて
生産性の向上とコストダウンへの取り組み
四本目の柱にリースキン事業スタート
国内外への厚生旅行の実施
三笠宮寬仁親王殿下の視察
リネン工場の火災と早期再建
「福祉の里」建設計画スタート
企業授産を展開した光生舎の発展
髙江理事長の発病と理念の継承

引用・参考文献
髙江常男及び北海道光生舎年表

【著者紹介】
(さとう・かつひこ)北海道蘭越町生まれ。日本社会事業大学、北星学園大学大学院修士課程に学ぶ。札幌市中央福祉事務所、身体障害者更生援護施設指導課長、身体障害者療護施設施設長、栗山町立北海道介護福祉学校校長、吉田学園北海道福祉大学校専任教員を経て、(社福)はるにれの里顧問、札幌大谷短期大学非常勤講師。北海道社会福祉史研究会会員、日本ソーシャルワーカー協会会員、北海道社会福祉士会会員(刊行当時)。著書に『北海道の歴史と福祉』(共著、北海道社会福祉史研究会)、『重度障害者の自立に関する考察』(北海道ソーシャルワーカー協会)。

【編者紹介】
(つまがり・ゆうじ)長崎純心大学大学院教授、高知女子大学名誉教授、筑波大学名誉教授。専攻は知的障害者施設史。
(いちばんがせ・やすこ)日本女子大学名誉教授。専攻は高齢者・児童・障害者福祉等、社会福祉全般。

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