シリーズ福祉に生きる57 近藤益雄

シリーズ福祉に生きる(企画編集:津曲裕次・一番ヶ瀬康子)

著者:清水寛

発行年月:2010年10月(大空社刊)

価格:2,200円(本体2,000円+税10%)

ISBN:978-4-283-00590-7

体裁:B6判・328頁・並製・カバー装

シリーズ福祉に生きる57 近藤益雄

(こんどう・えきお 1907・明治40~1964・昭和39年) 「平和なくしてこの教育もなく、この子どもたちのいのちもないということをおもう。人間のねうちを、ほんとうに平等に大切にする世の中であるならば、きっと平和がまもられるにちがいない。この子どもたちも完全にまもられるにちがいない。」戦後の長崎で、知的障がい教育・福祉の実践家として、家族ぐるみで苦闘した詩人教師。知的障害児生活教育施設「のぎく寮」創設。

(目次より)
序 出会いと永別

第Ⅰ部 幼年期から大学時代まで――1907(明治40)年~27(昭和2)年

第1章 詩人教師・近藤益雄の詩心のふるさと――平戸の歴史と自然

第2章 学童期
1 平戸村立の小学校で(現・平戸市立平戸小)
2 子どものときの障がい者との出会い

第3章 中学生時代(現・長崎県立猶興館高)
1「質朴剛健」の校風のなかで
2 異色の評論「恵まれたる者」

第4章 大学生時代(國學院大學高等師範部)
1 学業と寮生活
2 多彩な文学的活動
3 セツルメント活動
4「より良き半身」との出会い

第Ⅱ部 戦前の教員としての歩み――1927(昭和2)年~45(昭和20)年

第1章 「私は子供をまるで花のやうに愛してゐた」――都市近郊の小学校での代用教員として

第2章 山峡の小学校で――生活綴方教育への目覚め

第3章 離島への「不意転」と生活綴方教育への実践――小値賀尋常高等小学校
1 校長に綴方を禁じられながらも
2 島の子らに魅せられて
3 童謡集『五島列島』の誕生

第4章 農村の小学校で――田平尋常高等小学校
1 東北の飢饉に苦しむ子らへ
2 児童生活詩としての長い詩の実践と提唱
3 遅れた子どもの指導
4「学級文集」の交流を通じて

第5章 学校と家庭と地域を結ぶ教育――田助尋常高等小学校
1〈畠の子〉〈海の子〉〈町の子〉に友情と自治の力を
2 地域での教育・文化活動
3 遅れた子どもと
4 受難――「特高」の監視

第6章 決戦体制下での女学校教育――戦時中の平戸高等女学校
1〈挺身〉
2「応召」――本土防衛の部隊の兵員として
3 慟哭――長男・耿(あきら)の原爆死

第Ⅲ部 戦後における教育と福祉の実践――1945(昭和20)年~64(昭和39)年

第1章 軍国主義教育への反省と民主主義教育の模索
1 子ども観の自己変革から――戦後の女学校教育と地域教育・文化活動
2「民意によって成長し、民意を高める」新制中学校づくり――平戸町立田助中学校の創設

第2章 「生活理想」にもとづく民主的な学校をめざして――田平小学校の校長として

第3章 「木々のみどりのように、いのちあふれてのびてゆけ」――口石小学校の知的障がい児学級「みどり組」の担任となる
1 子どもたちと共に創る学級
2 職場の教員たちとの共同の学習と実践
3 民間教育研究運動などへの参加
4 母と子の永別

第4章 「風の中に一本のマッチの火を まもるがごとく」――生活教育施設「のぎく寮」の創設

第5章 「のぎく村」の夢を抱きつつ――成人ホーム「なずな寮」の創意と広がる想いのなかで
1「のぎく寮」から「のぎく学園」へ
2「私自身が火になろう」――心労・永眠

結び――故・近藤益雄への〈心の返信〉第17章 

略年譜/著作目録(戦前編)

【著者紹介】
(しみず・ひろし)東京教育大学教育学部特殊教育学科卒業。埼玉大学名誉教授。全国障害者問題研究会顧問。主な著書『近藤益雄著作集』全7巻・補巻1(明治図書出版、1975年、共編)、『発達保障思想の形成』(青木書店、1981年)、『セガン : 知的障害教育・福祉の源流』(日本図書センター、2004年、編著、第24回日本社会事業史学会文献賞受賞)、『日本帝国陸軍と精神障害兵士』(不二出版、2006年、編著)、『資料集成 戦争と障害者』第1期全7冊(不二出版、2007年、編集)、『写真記録 この子らと生きて:近藤益雄と知的障がい児の生活教育』(日本図書センター、2009年、共編著)、『写真記録 子どもに生きる―詩人教師・近藤益雄の生涯(同前)。

【編者紹介】
(つまがり・ゆうじ)長崎純心大学大学院教授、高知女子大学名誉教授、筑波大学名誉教授。専攻は知的障害者施設史。
(いちばんがせ・やすこ)日本女子大学名誉教授。専攻は高齢者・児童・障害者福祉等、社会福祉全般。

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