制度はいかに進化するか

技能形成の比較政治経済学

著者:Kathleen Thelen(キャスリーン・セーレン)/監訳者:石原俊時・横山悦生

発行年月:2022年3月

価格:3,850円(本体3,500円+税10%)

ISBN:978-4-86688-235-2

体裁:A5判・398頁・並製・カバー装

制度はいかに進化するか

資本主義・民主主義国家の政治経済的「制度(institutions)」は、伝統的手工業者や現代的産業・企業経営者が生産力の柱として編成する「技能形成(skill formation)」システムと、いかに重要な関係を持っているか。
ドイツ・イギリス・日本・アメリカ4国の労働政策や労働運動・企業内職業訓練の実際を歴史的に比較検討、各国間の「差異」を鮮明化し、「技能」の保持・継承がいかになされたかを追究。停滞・休止・停止そして漸進・革新は、政治経済的「制度」といかなる相関関係を持つのか、多角的・重層的に分析する。
現代アメリカを代表する政治学者(現在、MIT教授)による主著。難解な原著の待望の翻訳。適宜原語を並記し、著者の意図を精確に汲み取ることに意を尽くしたていねいな翻訳。詳細な参考文献、各種索引=引用文献著者・企業・団体/組織などは研究に至便。

(原著:Kathleen THELEN, How Institutions Evolve: The Political Economy of Skills in Germany, Britain, the United States and Japan. Cambridge University Press, 2004)

■主要キーワード■
イヌンク、ウィスコンシン・モデル、「親方」、技術教育、企業自己充足主義的、企業内学校、企業内訓練、技能形成、技能資格認証、ギルド、継続学校、工場内訓練、生産の合理化、コーポラティズム、資本主義の多様性、収穫逓増、終身雇用、重大局面、集団主義、手工業会議所、自由な市場経済、熟練労働者組合、職業学校、職業教育、職業訓練、職長、政治的同盟、制度堆積、制度漂流、大量生産、団体交渉、断続均衡モデル、調整された市場経済、出来高賃金、徒弟制度、内部請負制、内部労働市場、年功賃金、引き抜き、標準化、フィードバック効果、福祉資本主義、見習い、ロックアウト

目次

凡例
序文

第1章 比較と歴史の視点から見る技能の政治経済
1.1 技能と技能形成
1.1.1 技能についての経済学者の見解
1.1.2 Beckerを越えて
1.1.3 政治学に戻って
1.1.4 訓練における信頼関係を構築する問題:諸問題とその解決策
1.1.5 訓練における集合的行為の問題:諸問題とその解決策
1.2 議論の要約
1.3 制度の生成と変化の諸理論
1.4 制度の起源と進化:本研究から見えてくるもの
1.5 本書の概略

第2章 ドイツにおける技能形成の進化について
2.1 ドイツにおける技能形成制度の進化における手工業経済の重要性
2.1.1 労働者にとっての意味
2.1.2 工業にとっての意味
2.2 機械および金属加工における大企業の戦略
2.3 政治的同盟と制度の進化
2.3.1 1920 年代における組織労働者の立場に関する論争 
2.3.2 機械・金属加工業の立場
2.3.3 標準化の原動力
2.4 改革に敵対した政治的同盟
2.4.1 Dinta
2.4.2 改革の失敗
2.4.3 立法による改革に代わるものとしての自発的な協力

第3章 イギリスでの技能形成の進化
3.1 国家の政策とイギリス手工業者の運命
3.1.1 労働者にとっての意味
3.1.2 工業にとっての意味
3.2 金属加工業および機械工業における労使の戦略
3.2.1 第一次大戦前のイギリスの徒弟制度
3.2.2 ロックアウト後の徒弟制度
 少年労働/若者と徒弟制度
3.3 第一次大戦前の改革の取り組み
3.3.1 大手金属加工業企業の戦略
3.3.2 徒弟制度に関する労働組合の戦略
3.4 戦争の影響とその後
3.4.1 第二次世界大戦直前のイギリスの訓練
3.5 比較と結論

第4章 日本とアメリカにおける技能形成の進化
4.1 日本における技能形成の進化
4.2 国家の役割と日本における手工業者の運命
4.2.1 労働者にとっての意味
4.2.2 工業にとっての意味
4.3 大手金属加工企業の戦略
4.4 日本における労務管理システムの進化
4.5 日独比較
4.6 アメリカにおける技能形成の進化
4.7 工業化初期における技能形成
4.7.1 労働者にとっての意味
4.7.2 工業にとっての意味
4.8 第一次世界大戦前の金属加工業における労働組合と使用者の戦略
4.8.1 ウィスコンシン・モデル
4.8.2 アメリカにおける企業内学校運動
4.9 第一次世界大戦期および戦後における訓練をめぐる政治
4.10 比較と結論

第5章 ドイツにおける職業訓練システムの進化と変化
5.1 国家社会主義下での職業訓練制度の進化
5.1.1 国家社会主義下における訓練と技能
5.1.2 国家社会主義下における職業訓練をめぐる政治
 手工業/工業
5.1.3 職業訓練のコントロールをめぐる政治的闘争
5.1.4 国家社会主義による職業訓練への影響
5.2 戦後ドイツにおける職業訓練
5.2.1 占領期における職業訓練
5.2.2 復興期における職業訓練
5.2.3 1969 年の職業訓練法
5.2.4 1969 年以後の発展
5.3 ドイツの訓練システムの近年の展開:制度漂流を通じた衰退か?

第6章 結論
6.1 国際比較:多様な技能形成レジームの諸起源
6.1.1 政治的同盟と制度のさらなる進化
6.1.2 若者と徒弟制度
6.2 制度的補完性
6.3 制度の進化と変化

参考文献
解説(石原俊時)
あとがき(横山悦生)
索引
団体・組織・企業名省略記号一覧

著者紹介:
(キャスリーン・セーレン)マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。専門は政治学・比較政治学。主な業績(著作):Varieties of Liberalization and the New Politics of Social Solidarity. Cambridge University Press, 2014; How Institutions Evolve: The Political Economy of Skills in Germany, Britain, the United States and Japan. Cambridge University Press, 2004(本書)。

監訳者紹介:
(いしはら・しゅんじ)東京大学大学院経済学研究科教授。専門は西洋経済史。主な業績:Faderliga företagare i Sverige och Japan, Stockholm 2015(B. HorbyおよびC. Ericssonと共著)、P. ブルメー・P.ヨンソン『スウェーデンの高齢者福祉:過去・現在・未来』新評論 2005年(翻訳・解説)。

(よこやま・えつお)名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授(刊行当時。2022年4月より名古屋産業大学特任教授)。専門は技術・職業教育学。2003–04年:ストックホルム教育大学客員研究員、2013年:ルンド大学経済史研究所客員教授、2019年:ケルン大学客員教授。主な業績:ニクラス・ブロンベリと共訳「なぜスウェーデンはデンマークとは異なる経路を選択したのか:1950年代の職業教育諸改革の背景」『生涯学習・キャリア教育研究』14、2018年3月、ニクラス・ブロンベリと共著「スウェーデンの職業教育制度史研究:1877年から1955年までの初等技術教育とそれに対する国庫補助金に注目して」『職業教育学研究』50:2、2020年7月。

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