明治翻訳文学全集 《新聞雑誌編》
編集 川戸道昭・榊原貴教  協力 中林良雄
体裁:B5版・上製 各巻300〜350ページ
定価:本体 各巻15.000円+税




第1巻 シェイクスピア集 T
明治初年代から一〇年代のシェイクスピアの翻訳は主として新聞の連載で発表され、今日通覧が困難となっている。この巻は「平仮名絵入新聞」「東京絵入新聞」「郵便報知新聞」「函右日報」に載った仮名垣魯文、外山正一、藤田茂吉らの翻訳を収録。雑誌では「驥尾団子」「喜楽の友」「文学叢誌」に載った貴重な作品を収録。

ハムレットの独白 ワーグマン訳 [ジャパン・パンチ・明治七年]
葉武列土 仮名垣魯文訳 [平仮名絵入新聞・明治八年]
胸肉の奇訟 無署名[民間雑誌・明治一〇年]
新約繁昌記劇場曽総 道人訳 [驥尾団子・明治一二年]
(ロミオ)ト(ジュリエット)ノ話 無署名[喜楽の友・明治一二年]
「ハムレット」中の一段 矢田部良吉訳 [東洋学芸雑誌・明治一五年]
高僧ウルゼー 外山正一訳 [郵便報知新聞・明治一五年]
「ヘヌリー第四世」中の一段 外山正一訳 [郵便報知新聞・明治一五年]
春宵夜話(ゼ ウイントルス テール) 藤田茂吉訳 [郵便報知新聞・明治一六年] 
春宵夜話(アズ ユー ライク イト) 藤田茂吉訳 [郵便報知新聞・明治一六年] 
春宵夜話(ヴェロナの二紳士) 藤田茂吉訳 [郵便報知新聞・明治一六年] 
春宵夜話(ハムレット) 藤田茂吉訳 [郵便報知新聞・明治一六年]
欧州奇聞花月情話 菊亭香水訳 [函右日報・明治一七年]
花間の一夢 藤田茂吉訳 [郵便報知新聞・明治一七年]
落花の夕暮 藤田茂吉訳 [郵便報知新聞・明治一八年]
何桜彼桜銭世中 宇田川文海訳 [大阪朝日新聞・明治一八年]
甸国皇子 班烈多物語 坪内雄蔵訳 [中央学術雑誌・明治一八年]
栄枯の夢 藤田茂吉訳 [郵便報知新聞・明治一八年]
雨後の花 藤田茂吉訳 [郵便報知新聞・明治一八年]
人肉質入裁判 巖本善治訳 [文学叢誌・明治一八年]

明治翻訳文学年表(シェイクスピア編)

『シエイクスピア集解説』 川戸道昭
『シェイクスピアと明治の時代精神』 川戸道昭
【明治翻訳文学と私】『夏葉のロシア語辞書』 中村喜和

シェイクスピア翻訳文学書全集 全45巻


第2巻 シェイクスピア集 U
明治二〇年代の作品を収録する。この時期は「大阪新報」「土陽新聞」や「女学雑誌」「以良都女」「学芸之世界」「日本大家論集」「国民英学新誌」「早稲田文学」等に次々と翻訳が発表されシェイクスピア受容の底辺を広げていく過程を俯瞰する。

葉武列土倭錦絵 仮名垣魯文訳 [東京絵入新聞・明治一九年]
理想佳人伝 無署名 [女学雑誌・明治二〇年] 
海外情譜 無署名 [大阪日報・明治二〇年] 
三人の姫 巌本善治訳 [女学雑誌・明治二〇年] 
転合笑話 無署名 [土陽新聞・明治二〇年] 
情天恨地/志しりい物語 架空道人訳 [学芸之世界・明治二〇年]
妙縁奇遇/白金の指輪 菅城子訳 [土陽新聞・明治二〇年]
豪華之夢 鯖江小漁訳 [学芸之世界・明治二一年]
正本はむれッと 山田美妙訳 [以良都女・明治二一年] 
活人形 架空道人訳 [日本大家論集・明治二二年] 
マクベス評注 坪内逍遥訳 [早稲田文学・明治二四年] 

『西洋文学受容の社会的背景』 榊原貴教 
『欧米文学の移入経路としての学校教育』 川戸道昭
     ―英語読本に育まれた明治の文学精神― 
【明治翻訳文学と私】『若き日の文学読書遍歴』 徳永守儀

明治翻訳文学年表(シェイクスピア編) 


第3巻 シェイクスピア集 V
明治二五年〜三二年までの作品を収録。藤村の「ヴィナスとアドニス」、泡鳴の「ハムレット」、竹柴賢二の「ハムレット」、逍遥の三一年改訳「マクベス」、中村福助の「冬物語」、戸沢姑射の「オセロ」などシェイクスピア受容の様々な可能性が試みられた。

魔王来 山田美妙訳 [国民新聞・明治二四年]   
夏草 島崎藤村訳 [女学雑誌・明治二五年]   
沙翁戯曲該撒一節 明石居士訳 [女学雑誌・明治二七年]
悲劇/魂迷月中刃 岩野泡鳴翻案 [女学雑誌・明治二七年]
応仁革命結城譚 竹柴賢二翻案 [歌舞伎新報・明治二八年]
デンマルクの皇子ハムレットの悲劇 坪内逍遙訳 [早稲田文学・明治二九年]  
マクベス 坪内逍遙評釈 [国学院雑誌・明治三○年]  
梅摸様形見小袖 中村福助翻案 [文芸倶楽部・明治三二年]
オセロ 戸沢姑射訳 [太陽・明治三二年]  

『西洋人名移入考』 川戸道昭
     ―シェイクスピアと明治の人名辞典―
【明治翻訳文学と私】『ハムレットと私』 河竹登志夫 

明治翻訳文学年表(シェイクスピア編) 


第4巻 シェイクスピア集 W
短時日に近代化を成し遂げたといわれる日本においても、心的世界では西洋をあるがままに理解することは難しかった。その落差が日本における近代の歪みをもたらした。明治後期の翻訳は江見水蔭の「オセロ」、小栗風葉の「間違いの喜劇」、巌谷小波の「ハムレット」、小山内薫の「ロミオとジュリエット」、松居松葉の「ウィンザーの陽気な女房」などを収録する。

オセロ 江見水蔭翻案 [文芸倶楽部・明治三六年] 
喜劇/花菖蒲  藤浪一如・小栗風葉訳 [太陽・明治三六年]
ハムレツトの原説 巖谷小波訳 [太陽・明治三六年]  
夏の夜の夢 小松月陵訳 [白百合・明治三七年]  
ヴィナスとアドニス 皆川真折訳 [帝国文学・明治三八年]
ハムレット劇中の劇 戸沢姑射訳 [明星・明治三八年]  
ロメオ、エンド、ヂユリエット 戸沢姑射訳 [白百合・明治三八年]
月あかき宵 浅山たかし訳 [文庫・明治三九年]  
ヴェニスの商人 浅野馮虚訳 [白百合・明治三九年]  
ヱニスの商人 坪内逍遙訳 [早稲田文学・明治三九年]  
ハムレット 坪内逍遙訳 [早稲田文学・明治四○年]  
真夏の夜の夢の間劇 浦瀬白雨訳 [帝国文学・明治四三年]
あらし序幕 坪内逍遙訳 [早稲田文学・明治四五年]  
喜劇/陽気な女房  松居松葉訳 [文芸倶楽部・明治四五年]

『シェイクスピア学の源流』 川戸道昭
      ―近代日本演劇の原点―
【明治翻訳文学と私】『英語訳の「イデオロギー」』 大澤吉博

明治翻訳文学年表(シェイクスピア編) 
明治期翻訳文学紹介・研究文献(日本におけるシェイクスピア)


第5巻 スコット/ブロンテ集 (附ハーディ集)
スコットは明治初期翻訳文学の花であった。本巻では二〇年代三〇年代の動静を伝える。シャーロット・ブロンテ集は、明治二九年の『ジェーン・エア』の翻訳を紹介する。付録として、新発掘の明治三三年の『日陰者ジュード』の部分訳など、トーマス・ハーディの明治期の翻訳五点を収録する。

【スコット編】
ケネルオルス 訳者不記[女学雑誌・明治二一年]
喇叭の声 石川残月庵訳 [国民之友・明治二七年]
スコット愛国の歌 池袋浅香訳 [海国少年・明治三〇年]
臥豹武士 桜井鴎村訳 [英文新誌・明治三六年]
龕前の夢 大内白月訳 [文庫・明治三七年]
カトリン湖 松菫訳 [新声・明治三八年]
馬上の勇士 野上臼川訳 [文芸界・明治三八年]

【ブロンテ集】
理想佳人 水谷不倒訳 [文芸倶楽部・明治二九年]

【ハーディ編】
ヂュード・ヲブスキューア 千葉掬香訳 [翻訳 時報・明治三三年]
女詩人 鶉浜生訳 [慶応義塾学報・明治三九年]
テス 高瀬青袍訳 [帝国文学・明治三九年]
未亡人 佐藤迷羊訳 [新思潮・明治四一年]
兄弟の苦しみ 佐藤清訳 [新人・明治四四年]

『トマス・カーライルと明治の文芸思潮』 川戸道昭 
     ―『英雄崇拝論』の受容を中心に―
【明治翻訳文学と私】『明治前半期の翻訳小説について』  鏡味國彦
     ―リットン、スコット、ディスレイリの小説を中心に―

明治翻訳文学年表(スコット編) 
明治翻訳文学年表(ブロンテ編) 
明治翻訳文学年表(ハーディ編)


第6巻 ディケンズ集
幻の雑誌といわれた「有無雑誌」の存在をつきとめ、磯野徳三郎の訳した「船遊」をここに収録する。他に、饗庭篁村、森田思軒、若松賤子、徳田秋声、国木田独歩、吉江孤雁らが翻訳した作品を収録。

船遊 磯野徳三郎訳 [有無雑誌・明治一九年]
影法師 饗庭篁村訳 [読売新聞・明治二一年]
伊太利の囚人 森田思軒訳 [国民之友・明治二二年]
黒頭巾 内田魯庵訳 [国民之友・明治二四年]
ヂツケンスが其児に与ふるの書 無名氏訳 [女学雑誌・明治二五年]
雛嫁 若松賤子訳 [国民之友・明治二五年]
船遊山 芳文訳 [城南評論・明治二六年]
小児星を夢む 志川生訳 [家庭雑誌・明治二七年]
内と外 徳田秋声訳 [少年文集・明治二九年]
牢帰り 森田思軒訳 [家庭雑誌・明治二九年]
酔魔 内田魯庵訳 [太陽・明治二九年]
童児の星の夢 国木田独歩訳 [家庭雑誌・明治三〇年]
盲妹 山田枯柳訳 [裏錦・明治三〇年]
逝きにしネル 前田梅城訳 [新声・明治三八年]
従兄弟 大谷繞石訳 [明星・明治三八年]
海の嵐 吉江孤雁訳 [新古文林・明治三八年]
小桜新八 堺枯川訳 [都新聞・明治四四年]

明治翻訳文学年表(ディケンズ編)

『デイケンズの翻訳と翻訳者のこと』 中林良雄 
     ―西洋文学受容史のために(二)
【明治翻訳文学と私】『明治期翻訳文学と私』 松村昌家 


第7巻 スティーブンソン集
翻訳は代表作『宝島』の翻訳から始まる。明治二八年の「文芸倶楽部」誌上に抄訳とはいえ一三〇頁に及ぶ宮井安吉訳がそれである。本巻もこの訳を巻頭に「明星」「開拓者」「新人」「帝国文学」「中外英字新聞」「新女界」に掲載の『新アラビア夜話』など一一点の訳を収める。漱石の『彼岸過迄』は『新アラビア夜話』にヒントを得て創作された。

新作たから島 宮井安吉訳 [文芸倶楽部・明治二八年]
その夜の宿 大井蒼梧訳 [明星・明治三八年]
ステイヴンソンの小船旅行 戸川秋骨訳 [明星・明治四一年]
椿事 西村渚山訳 [開拓者・明治四一年]
平原と星 藤田麒一訳注[英語の日本・明治四一年]
雨/海岸 小林愛雄訳 [帝国文学・明治四二年]
一夜の宿 鬼嶋熊之助訳 [中外英字新聞・明治四二年]
いたづら 木村久一訳 [新人・明治四二年]
独木舟紀行 無署名[中外英字新聞・明治四三年]
子供の歌園 赤星生訳 [新女界・明治四四年]

『「現代作家」としてのスティーヴンソンの受容』 川戸道昭
【明治翻訳文学と私】『野上弥生子と「世界名作大觀」』 田村道美

明治翻訳文学年表(スティーヴンソン編)


第8巻 ドイル集
日本の探偵小説にドイルの及ぼした影響は大きい。明治二七年の初訳「乞食道楽」および水田南陽すぐれた完訳「不思議の探偵」などシャーロック・ホームズものを中心にドイルの明治期翻訳作品を俯瞰する。

乞食道楽 無署名[日本人・明治二七年] 
不思議の探偵 水田南陽訳 [中央新聞・明治三二年]
  ・奇怪の鴨の胃  
  ・帝王秘密の写真  
  ・禿頭倶楽部  
倫敦通信/新陰陽博士 原抱一庵訳 [文芸倶楽部・明治三三年]
花嫁のゆくへ 上村左川訳 [女学世界・明治三四年]
再婚 上村左川訳 [太陽・明治三四年]
偽紳士 小羊生訳 [慶応義塾学報・明治三六年]
軍事小説/大佐の罪 高須梅渓訳 [太陽・明治三七年]
帝国の記念 衛藤東田訳 [文庫・明治三八年]
奇談/外交文書の紛失 千葉紫草訳 [日露戦争写真画報・明治三八年]
宝玉の行方 某文学士訳 [太陽・明治四〇年]
探偵小説/鼻眼鏡 勝間舟人訳 [文芸倶楽部・明治四一年]

『明治時代のシャーロック・ホームズ』 川戸道昭
    ―ドイルの紹介と初期の探偵小説―
【明治翻訳文学と私】『ホームズ物語の種本』 伊藤秀雄

明治翻訳文学年表(ドイル編)


第9巻 コリンズ集
「近代イギリス探偵小説の中で最初で、最長編で、最高作」とエリオットが絶賛した『月長石』は、明治二二年に「郵便報知新聞」紙上で森田思軒によって前半が翻訳される。二年後、師の訳業を原抱一庵が引き継ぎ、後半の訳を「報知叢話」で開始するが、これまた中断する。この探偵小説の古典の訳業の歴史を、コリンズの訃報に接し発表した抱一庵の伝記を含めて一巻にまとめる。

月珠 森田思軒訳 [郵便報知新聞・明治二二年]
月珠 原抱一庵訳 [報知叢話・明治二四年]
白衣婦人 原抱一庵訳 [都の花・明治二四年]

『センセイション・ノヴェルの流行』 川戸道明
     ―ウィルキー・コリンズと明治二十年代の翻訳小説―
【明治翻訳文学と私】『探偵小説の移入』 中島河太郎

明治翻訳文学年表(コリンズ編)


第10巻 ワイルド集
唯美主義を提唱し、世紀末文学の旗手として活躍したワイルドの翻訳は、明治四〇年代から行われ、日本文学に独特の影響を与えた。谷崎潤一郎、佐藤春夫、日夏耿之助らはこの作家から多くのものを汲み取り、作家活動の中で開花させていった。「歌舞伎」「心の花」「東亜の光」「帝国文学」「時事新報」などに翻訳は掲載された。

オスカア・ワイルド詞華 小林愛雄訳 [帝国文学・明治四一年]
ヰンダーミーヤ夫人の扇 岩野泡鳴訳 [早稲田文学・明治四二年]
熱心の大切な事 岩野泡鳴訳 [早稲田文学・明治四二年]
悲劇/サロメ 小林愛雄訳 [新小説・明治四二年]
〔参考〕丸善 無窮庵作 [帝国文学・明治四二年]
オスカア・ワイルドの警句 厨川白村訳 [帝国文学・明治四二年]
戯曲/サロメ 森鴎外訳 [歌舞伎・明治四二年]
セバスティアン・メルモス 川島風骨訳 [趣味・明治四二年]
鴬と薔薇 M・K生訳 [太陽・明治四三年]
フロレンスの悲劇 金子健二訳 [心の花・明治四三年]
我侭な巨人 田波御白訳 [帝国文学・明治四三年]
親友 田波御白訳 [東亜の光・明治四三年]
恋の創傷 天沼匏村訳 [心の花・明治四四年]
悲劇/革命婦人 内田魯庵訳 [朝日新聞・明治四四年]
喜劇/手提鞄 森皚峰訳 [時事新報 明治四五年]

『訳詩家小林愛雄のこと』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(三)
【明治翻訳文学と私】『ワイルドと大日本帝国』 堀江珠喜

明治翻訳文学年表(ワイルド編)


第11巻 サッカレー/キャロル集
サッカレー集は明治二四年「なにわがた」に訳載された圭圓子の「青幽霊」と、『虚栄の市』の訳など七編を収録。キャロル集には明治三二年の「少年世界」に発表された長谷川天渓訳「鏡世界」のほか、「少女の友」「英語之友」に訳載されたアリスの物語を収録する。二作家とも新資料の提出で、新たな研究を俟つ巻となっている。

【サッカレー編】
青幽霊 圭圓子訳 [なにはがた・明治二四年]
白梅嬢 螽湖漁史訳 [少年文庫・明治二六年]
ヴァニチー、フェア 磯辺弥一郎訳 [ 英文学講義録第6巻・明治二七年]
小説/一寸法師 太田玉茗訳 [少年文集・明治三一年]
還俗僧 せうげつ訳 [慶応義塾学報・明治三四年]
虚栄の巷 薄田斬雲訳 [新小説・明治三九年]
ヴァニテ・フェアの一節 山崎貞訳注[英語の日本・明治四三年]

【キャロル編】
鏡世界 長谷川天渓訳 [少年世界・明治三二年]
トランプ国の女王 永代須磨子訳 [少女の友・明治四一年]
海の学校 永代須磨子訳 [少女の友・明治四一年]
森の魔 永代須磨著[少女の友・明治四一年]
底無沼 永代須磨子著[少女の友・明治四一年]
幸福の杖 永代須磨子著[少女の友・明治四一年]
アリス物語/嫉妬の神 永代須磨子著[少女の友・明治四一年]
アリス物語/真珠の宮殿 永代須磨子著[少女の友・明治四一年]
アリス物語/大悪龍王 永代須磨子著[少女の友・明治四一年]
アリス物語/貞操の宝 永代須磨子著[少女の友・明治四一年]
アリス物語/宝の島のお正月 永代須磨子著[少女の友・明治四二年]
アリス物語/海の遊び 永代須磨子著[少女の友・明治四二年]
アリス物語/最後の勝利 永代須磨子訳 [少女の友・明治四二年]
不可思議国探険記 長谷川康訳注[英語之友・明治四二年]

『キャロル・イン・ザ・メイジ・イアラ』 川戸道昭
     ―アリスに関する文献数種―
【明治翻訳文学と私】『奇想の詩人、ルイス・キャロル』 谷口靖彦

明治翻訳文学年表(サッカレー編)
明治翻訳文学年表(キャロル編)


第12巻 キプリング集
大英帝国の愛国詩人として絶大な人気を博したキプリングであったが、彼の名を今日にとどめているのは、狼の群れの中で育ったモーグリ少年の物語『ジャングル・ブック』であろう。本巻には「少年世界」に連載された春曙・湖山共訳「狼少年」「虎退治」「庭園の大戦争」「軍用の獣類」「象の舞踏会」をすべて収めた。また島村抱月訳「リスベス」ほか、詩の訳など一六点を収録する。

狼少年 土肥春曙・黒田湖山共訳 [少年世界・明治三二年]
虎退治 土肥春曙・黒田湖山共訳 [少年世界・明治三三年]
庭園の大戦争 土肥春曙・黒田湖山共訳 [少年世界・明治三三年]
軍用の獣類 土肥春曙・黒田湖山共訳 [少年世界・明治三三年]
リスベス 島村抱月訳 [翻訳時報・明治三三年]
象の舞踏会 土肥春曙・黒田湖山共訳 [少年世界・明治三四年]
印度の片影 中島孤島訳 [小天地・明治三五年]
海底電線(詩) 金子南冥訳 [心の花・明治三七年]
小説/高原の娘 無名氏訳 [慶応義塾学報・明治三七年]
熊の休戦(詩) 無署名[英文新誌・明治三八年]
かくし妻 片上天弦訳 [早稲田文学・明治四○年]
海底電線(詩) 小林愛雄訳 [文庫・明治四一年]
猩々物語 厨川白村訳 [明星・明治四一年]
猩々 上野露村訳 [文芸倶楽部・明治四二年]
懐中時計 JI生訳 [慶応義塾学報・明治四四年]
思ひ違ひ 鶴洲生訳 [慶応義塾学報・明治四五年]

『「ジャングル・ブック」の紹介と初期の児童文学』 川戸道昭
【明治翻訳文学と私】『三遊亭円朝とモーパッサン』 秋山勇造

明治翻訳文学年表(キプリング編)


第13巻 十八世紀イギリス文学集
デフォー、リチャードソン、ジョンソン、ゴールドスミスを収録。これらの作家は、明治期においてシェイクスピアと並び、日本人に愛読された作家たちであった。デフォーの『ロビンソン・クルーソー』は今日なお多くの読者を持っているが、ジョンソン、ゴールドスミスが明治期になぜ愛読されたかを、百枚を超える解説で詳説する。

【デフォー集】
九死一生/魯敏孫物語 横須賀橘園訳 [驥尾団子・明治一二年]
ロビンソン、クルソウ 訳者不記[小国民・明治二五年]
ロビンソン、クルーソーの冒険 好遊生訳 [日本之少年・明治二七年]
亜歴セルカーク 森田思軒訳 [太陽・明治二八年]
少年魯敏遜 石井研堂訳 [少年世界・明治三三年]
倫敦疫癘記 大谷正信訳 [英語の日本・明治四一年]
ロビンソン、クルーソー漂流記 佐川春水訳 [英語の友・明治四二年]

【リチャードソン集】
クラリッサ 中島孤島訳 [太陽・明治三八年]

【ジョンソン集】
ラセラスの伝 訳者不記[西洋学芸雑誌・明治二〇年]
勇士の夢 中村可雄訳 [郁友会雑誌・明治三一年]

【ゴールドスミス集】
隠者 荻村段山訳 [日本人・明治二二年]
母の愛 松尾連訳 [幼年雑誌・明治二四年]
両秀才 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二五年]
詩伯ゴールドスミツス 戸川残花著[三籟・明治二六年]
隠者 胡沙生訳 [新文芸・明治三四年]
村の牧師 佐々木雪子訳 [婦人界・明治三六年]
喜劇/かんちがひ 水上夕波訳 [心の花・明治四〇年]
珍客 村田祐治訳 [英語の日本・明治四一年]
支那と欧州 KO訳 [英語の日本・明治四二年]

『オリヴァー・ゴールドスミスと日本の近代』 川戸道昭
     ―『荒村行』の受容とその解釈の変遷―
『明治時代のサミュエル・ジョンソン』 川戸道昭
     ―『ラセラス』の流行とその背景―

【明治翻訳文学と私】『ゴールドスミスと北村透谷』 平岡敏夫
【明治翻訳文学と私】『「日本のジョンソン学」構築のすすめ』 藤井哲

明治翻訳文学年表(デフォー編)
明治翻訳文学年表(リチャードソン編)
明治翻訳文学年表(ジョンソン編)
明治翻訳文学年表(ゴールドスミス編)


第14巻 リットン集
織田純一郎、井上勤、坪内逍遥、服部撫松、益田克徳らが競って翻訳した明治期に人気のあった作家の一人である。だが、この作家の名を知る人は今日少ない。この評価の落差の激しさこそ、異文化研究の宝庫といえよう。本書では黙阿彌、粧園、抱一庵、E村の訳に加え、新発掘の益田克徳速記訳「ぽんぺい栄華の夢」を収録する。

人間万事金世中 河竹黙阿弥訳 [歌舞伎新報・明治一二年二月]
父子奇遇/白浪艶話 小川漁史訳 [驥尾団子・明治一二年七月]
善悪の岐 中嶋粧園訳 [女学雑誌・明治二〇年七月]
奔彪栄華の夢 青笠小史訳 [女学雑誌・明治二一年一月]
栄枯譚 韋庵居士訳 [朝野新聞・明治二一年二月]
ぽんぺい栄華の夢 益田克徳訳 [東京中新聞・明治二三年九月]
人間万事金世中 河竹黙阿弥訳 [歌舞伎新報・明治二三年一一月]
花売り 戸川残花訳 [三籟・明治二六年三月]
野薔薇 竹雨生訳 [婦人新報・明治二八年四月]
ユージン、阿羅 原抱一庵訳 [明星・明治三五年六月]
ポンペイの末日 桜井鴎村訳 [英文新誌・明治三八年三月]
花束 萍雨訳 [文庫・明治三八年四月]
盲少婦の最期 桜井鴎村訳 [英文新誌・明治三八年五月]
羅馬最後の保民官リエンジ 桜井鴎村訳 [英文新誌・明治三九年一一月]

『リットンの小説と初期の翻訳文体』 川戸道昭
     ―言文一致体との関係を中心に―
【明治翻訳文学と私】『何故ブルワー・リットンだったのか?』 松村昌家

明治翻訳文学年表(リットン編)


第15巻 イギリス詩集 T
ワーズワス、コールリッジ、バイロン、キーツ、シェリーの明治二〇年代にかけて発表された八〇編ちかい翻訳詩を調査し収録した。ワーズワス、バイロンに現れる個の自覚と形而上学への憧れは、透谷ら「文学界」同人の浪漫主義に大きな影響を与えた。

【ワーズワス編】
韻文、山の翁 山田美妙訳 [国民之友・明治二四年]
子犬 戸川残花訳 [日本評論・明治二五年]
郭公詞 島崎藤村評釈[女学雑誌・明治二五年]
るうしい、ぐれい 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二五年]
我等七人 宮崎湖処子訳 [少年園・明治二五年]
稚き折のことを憶ひいでゝ永劫存在をさとるの歌 家永えい子訳 [国民之友・明治二六年]
母のおもひ 家永えい子訳 [家庭雑誌・明治二六年]
泉 宮崎湖処子訳 [少年園・明治二六年]
三月 大和田建樹訳 [日本之少年・明治二七年]
我等は七人 坪内逍遙訳 [国学院雑誌・明治二九年]
呼子鳥に 坪内逍遙訳 [国学院雑誌・明治二九年]
幼時を憶うて不死を知るの歌 坪内逍遙訳 [国学院雑誌・明治二九年]
失題 宮崎湖処子訳 [国民之友・明治三○年]
牧人行 宮崎湖処子訳 [太陽・明治三○年]
水仙 忘我訳 [帝国文学・明治三一年]
雀の巣 尾上柴舟訳 [心の花・明治三五年]
吾妹に 波岡茂訳 [政教時報・明治三六年]
夕べ 波岡茂訳 [政教時報・明治三六年]
飛鹿泉 川田順訳 [帝国文学・明治三七年]
反魂香 水上夕波訳 [帝国文学・明治三七年]
後代、詩人 厨川白村訳 [明星・明治三七年]
落葉 水上夕波訳 [明星・明治三七年]
幼児 英男訳 [文庫・明治三八年]
雲雀に与ふ 小原無絃訳 [読売新聞・明治三八年]
スーザンの幻覚 無署名[新声・明治三八年]
雲雀に与ふ 藪紫影訳 [新声・明治三八年]
霊木 藪紫影訳 [文庫・明治三八年]
小羊 蘆村漁郎訳 [文庫・明治三八年]
児童 本田雙石訳 [なのりそ・明治三九年]
胡蝶に 紫嵐訳 [文庫・明治三九年]
不滅を示めす幼児の追懐 岩野泡鳴訳 [太陽・明治四一年]
我等は七人 萩畔生訳 [婦女界・明治四二年]

【コールリッジ編】
君思不能忘 絅斎主人訳 [日本之少年・明治二七年]
画像の秘密 戸沢姑射訳 [明星・明治三六年]
片雲 尾上柴舟訳 [明星・明治三六年]
恋 高田梨雨訳 [明星・明治三七年]
「モン、ブラン」の曙 浦瀬白雨訳 [新声・明治三七年]
抒情歌 おもわれびと訳 [明星・明治三七年]
もんぶらんの朝頌 若月紫蘭訳 [帝国文学・明治三八年]
高嶺の曙 衣水生訳 文庫・明治三九年]

【バイロン編】
いねよかし 落合直文訳 [国民之友・明治二二年]
Parisina 星海堂主人訳 [青年文学・明治二五年]
大海原 大和田建樹訳 [日本之少年・明治二七年]
来因の玉づさ 無署名[帝国文学・明治三一年]
ドン、フアンの一節 木村鷹太郎訳 [明星・明治三三年]
チヤイルド、ハールト漂流記 無署名[帝国文学・明治三五年]
まぜっぱ 皆川真析訳 [帝国文学・明治三六年]
風捲簾 大内白月訳 [文庫・明治三七年]
祖国の岸を離れて 旅びと訳 [明星・明治三七年]
抒情歌 おもわれびと訳 [明星・明治三七年]
『海賊』第三齣 木村鷹太郎訳 [国民之友・明治三八年]
「チロン」の俘囚 浦瀬白雨訳 [新声・明治三八年]
大洋、故郷を去る曲 衣が浦人訳 [文庫・明治三八年]
脚本/海賊 礒萍水翻案[白百合・明治三九年]
ヲータルローの夕 紫嵐訳 [文庫・明治三九年]
シヨンの囚人 榎本秋村訳 [文庫・明治四一年]

【キーツ編】
薄命記 平田禿木訳 [文学界・明治二七年]
燈影 片上天絃訳 [心の花・明治三七年]
幻精賦 金子南冥訳 [心の花・明治三七年]
情なき姫 水上夕波訳 [明星・明治三七年]
落葉 水上夕波訳 [明星・明治三七年]
鳩 青蛙訳 [新声・明治三八年]
野にて歌へる 三宅野花訳 [心の花・明治三八年]
ワイリー姫に 柴田流星訳 [白百合・明治三八年]
情しらぬ手弱女の曲 蒲原有明訳 [明星・明治三八年]
人へ 貝葉訳 [白百合・明治三八年]

【シェリー編】
告天子の歌 忘我訳 [帝国文学・明治三○年]
哀悼 姫河原無鳴訳 [白百合・明治三一年]
雲 若月紫蘭訳 [帝国文学・明治三四年]
寂寞 高田梨雨訳 [明星・明治三六年]
西風賦 水上夕波訳 [帝国文学・明治三六年]
雲のうた 佐々木邱羊訳 [帝国文学・明治三六年]
微吟 辻村黄昏訳 [明星・明治三七年]
萎める菫 くさぶえ訳 [新小説・明治三七年]
落葉 水上夕波訳 [明星・明治三七年]
抒情歌 おもわれびと訳 [明星・明治三七年]
西風に与ふ、雲 藪紫影訳 [文庫・明治三八年]
小曲 藪紫影訳 [新声・明治三八年]
銀河 藪紫影訳 [文庫・明治三八年]

『北村透谷と西洋文学』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(八)
【明治期翻訳文学と私】『バイロン受容の問題点』 薬師川虹一

明治翻訳文学年表(イギリス詩集編T)


第16巻 イギリス詩集 U
イギリス詩集Tに続いて収録するロマン派詩集は、ロセッティーとテニソンを中心に編集する。テニソンはワーズワスの後を受けた大英帝国の桂冠詩人として、明治期の文学に大きな影響を及ぼす。『新体詩抄』に「軽騎兵隊進撃の詩」が訳された後、明治二〇年代、三〇年代に多くの翻訳が発表されている。二一年の「村娘ドラの一生」、二二年の「イノックアーデンの詩」「こがは」、二三年の「イナック、アーデン物語」初め、テニソンのみでも四〇点ちかい作品を収録。

【ロセッティー編】
名珠余影(そのかみ) 蒲原有明訳 [明星・明治三五年]
ゑすがた 蒲原有明訳 [芸文・明治三五年]
姉妹 蒲原有明訳 [クリスティーナ作 婦人界・明治三七年]
訳詩二章(交唱) 依田碧浪訳 [明星・明治三七年]
みける、すこつとのわづらひ/掬水 竹村修竹訳  [帝国文学・明治三七年]
三つの影 くさぶえ訳 [新小説・明治三七年]
三の影 くれなゐ訳 [明星・明治三七年]
文字の跡 貝葉訳 [白百合・明治三八年]
わかうど 紫嵐訳 [文庫・明治三九年]
さこそあれ 水木英夫訳 [新声・明治四一年]
若しも 高山春鳥訳 [クリスティーナ作 新声・明治四一年]

【テニソン集】
村好娘、ドラの一生 みどり訳 [女学雑誌・明治二一年]
イノックアーデンの歌 回天居士訳 [日本之女学・明治二二年]
こがは 国府寺新作訳 [少年園・明治二二年]
イナック、アーデン物語 若松しづ子訳 [女学雑誌・明治二三年]
英詩和訳(荒庵) Y生訳 [女学雑誌・明治二三年]
別離 無署名[国民新聞・明治二五年]
おうな 若松しづ子訳 [女学雑誌・明治二六年]
ドラ 宮崎湖処子訳 [家庭雑誌・明治二八年]
シャロツトの妖姫 坪内雄蔵評釈[国学院雑誌・明治二九年]
船たび 坪内雄蔵評釈[国学院雑誌・明治二九年]
ドラ女物語 坪内雄蔵評釈[国学院雑誌・明治二九年]
失望 再来訳 [国民之友・明治三○年]
マリアナ 戸沢姑射評釈[明星・明治三三年]
空屋 戸沢姑射評釈[明星・明治三三年]
薄因縁 気賀溶々訳 [慶応義塾学報・明治三三年]
ドーラ 小原要逸訳 [新文芸・明治三四年]
美しき少女ドーラ かげろふ訳 [心の花・明治三四年]
チソーナス 小原無絃訳 [文芸界・明治三五年]
夕風 土井晩翠訳 [心の花・明治三五年]
野薔薇 一畝庵主人訳 [図書世界・明治三六年]
怨嗟 英男訳 [帝国文学・明治三七年]
こだま 片上天絃訳 [帝国文学・明治三七年]
をとめ 向陽訳 [心の花・明治三七年]
おりあな 高田梨雨訳 [明星・明治三七年]
五月姫 わか紫訳 [明星・明治三七年]
シャーロット姫 高田梨雨訳 [明星・明治三七年]
何かはついに消えざらむ 三宅野花訳 [心の花・明治三七年]
瀕死の白鳥 英男訳 [文庫・明治三八年]
レベンジ号 曙峰訳 [文庫・明治三八年]
破船 鳥逕訳 [明星・明治三八年]
自由 八九十訳 [新声・明治三八年]
聖盃 中島孤島訳 [早稲田文学・明治三九年]
雛児のおはなし(子守歌) 長谷川康訳注[英語の日本・明治四一年]
砂洲越えて 欽泉生訳 [婦女界・明治四三年]
Locksley Hall 無署名[中外英字新聞・明治四四年]

『「於母影」の周辺』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十)
【明治翻訳文学と私】『ブレイクと日本』 松島正一

明治翻訳文学年表(イギリス詩集編U)


第17巻 アーヴィング集
明治二一年の春陽学人訳「新郎の幽霊」が最初の訳といわれるが、精力的に紹介したのは、宮崎湖処子であった。「幽霊新郎」「断腸」「田舎之花」「日曜日のロンドン」「航海」「家妻」などがある。ほかに思軒が郵便報知新聞で、鴎外が「少年園」で、魯庵が「国民之友」で、堺枯川が「なにわがた」で、樗牛が「帝国文学」で翻訳を発表する。アーヴィングの影響は鴎外らの訳した「リップ・ヴァン・ウィンクル」を通して、アメリカ的男性像を学習してきた点にも見られる。

幽霊聟 山縣五十雄訳 [文園・明治二二年]
旅館の夕 森田思軒訳 [郵便報知新聞・明治二二年]
幽霊新郎 森田思軒訳 [郵便報知新聞・明治二二年]
新世界の浦島 森鴎外訳 [少年園・明治二二年]
母ひとり子ひとり 秋花女史筆記[以良都女・明治二二年]
宇イストミンストル寺 川島小訳 [日本之少年・明治二三年]
寡婦及び其子 宮崎湖処子訳 [少年園・明治二四年]
幽霊新郎 宮崎湖処子訳 [少年園・明治二四年]
華盛頓の臨終 山縣悌三郎訳 [少年園・明治二四年]
窮乏操觚者 内田魯庵訳 [国民之友・明治二四年]
断腸 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二五年]
細君 篇舟子訳 [扶桑の花・明治二五年]
ウヲルファート・ウエバー 三谷まさ訳 [青年文学・明治二五年]
田家之花 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二五年]
日曜日の倫敦 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二五年]
航海 宮崎湖処子訳 [少年園・明治二五年]
夢見の里 斎藤紫影訳 [しがらみ草紙・明治二五年]
肥えた旦那 堺利彦訳 [なにはがた・明治二五年]
シェーキスピヤの墓地 雪窓夜読人訳 [国民新聞・明治二五年]
肥大紳士 森田思軒訳 [国民之友・明治二六年]
家妻 宮崎湖処子訳 [家庭雑誌・明治二六年]
英国の田園生活 森岐山訳 [少年文集・明治二九年]
恋情論 高山樗牛訳 [帝国文学・明治三六年]
太った旦那 大谷繞石訳 [白百合・明治三八年]
薄命怨 神代逢月訳 [文庫・明治三九年]
雨の雫 土屋朝露訳 [新声・明治三九年]
薄命文士 大谷繞石訳 [明星・明治四○年]

『『歸省』の位置』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(六)
【明治翻訳文学と私】『ワシントン・アーヴィングの新しさ』 亀井俊介


第18巻 ホーソーン集
明治二二年の「夢ならぬ夢」が初めての訳である。この訳者は大島正健であるが、彼と森田思軒、原抱一庵の交友の広がりのなかで、「女学雑誌」「郵便報知新聞」「国民之友」「国民新聞」などに次々と翻訳が発表されていった。その後、逍遥、悠々、秋声、白鳥、楠緒子、鴎村、泡鳴らがこれに続いて発表する。

夢ならぬ夢 大島正健訳 [女学雑誌・明治二二年]
心の浮画 大島正健訳 [女学雑誌・明治二二年]
結婚場裡之死鐘 かなめ生訳 [同志社文学会雑誌・明治二二年]
昼寝 森田思軒訳 [郵便報知新聞・明治二三年]
青春夢 原抱一庵訳 [郵便報知新聞・明治二三年]
新天路歴程 湘川漁夫訳 [女学雑誌・明治二三年]
腹中の蛇 大島正健訳 [女学雑誌・明治二四年]
白髯武者 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二五年]
漁翁 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二五年]
黒頭巾 松居松葉訳 [女学雑誌・明治二五年]
観物師の函 森田思軒訳 [文学・明治二五年]
用達会社 森田思軒訳 [国民之友・明治二五年]
想像子が傀儡函 坪内逍遙訳 [早稲田文学・明治二六年]
不老泉 上村左川訳 [少年文集・明治二九年]
大夜光珠 桐生悠々訳 [太陽・明治二九年]
小児の楽園 山田枯柳訳 [裏錦・明治二九年]
黒覆面 田、葎園訳 [裏錦・明治三〇年]
幻影 徳田秋声訳 [少年文集・明治三一年]
巨人山 佐藤迷羊訳 [文芸倶楽部・明治三三年]
泉のまぼろし 正宗白鳥訳 [小天地・明治三五年]
モンテベニの物語 大塚楠緒子訳 [心の花・明治三六年]
除夜物語 落々石翁訳 [明星・明治三六年]
黄金王 藤井紫影訳 [帝国文学・明治三六年]
国旗寸断 岩野泡鳴訳 [明星・明治三六年]
奇しき実験 松本信夫訳 [心の花・明治三七年]
泉の幻影 松本信夫訳 [心の花・明治三七年]
不老泉 斎藤紫軒訳 [文芸界・明治三八年]
村の大事件 西村渚山訳 [文芸倶楽部・明治三八年]

『翻訳家原抱一庵の出現』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(五)

明治翻訳文学年表(ホーソーン編)


第19巻 ポー集
明治二〇年に饗庭篁村が「黒猫」「ルーモルグの人殺し」を発表したのがエドガー・アラン・ポーの翻訳の始まりといわれている。この巻は篁村の訳を巻頭にして、思軒、秋濤、白村、天弦、泡鳴、鴎外、雷鳥らの翻訳を収録。雷鳥は明治末から、ポーの作品を精力的に翻訳している。

西洋怪談/黒猫 饗庭篁村訳 [読売新聞・明治二〇年]
ルーモルグの人殺し 饗庭篁村訳 [読売新聞・明治二〇年]
目鏡 饗庭篁村訳 [読売新聞・明治二一年]
秘密書類 森田思軒訳 [名家談叢・明治二九年]
間一髪 森田思軒訳 [太陽・明治二九年]
猩々怪 長田秋涛訳 [文芸倶楽部・明治三二年]
心の音 小日向是因訳 [帝国文学・明治三三年]
壜中の遺書 上村左川訳 [太陽・明治三五年]
寂滅 厨川白村訳 [帝国文学・明治三六年]
詩人ポーと其名歌 厨川白村訳 [明星・明治三七年]
あなべる・りい くれなゐ訳 [明星・明治三七年]
ゆうらりい くれなゐ訳 [明星・明治三七年]
ポーの詩論 相馬御風訳 [白百合・明治三八年]
小説/大海原 石川不美比古訳 [日露戦争写真画報・明治三八年]
影 片上天弦訳 [早稲田文学・明治三九年]
沈黙 松本信夫訳 [心の花・明治三九年]
黒猫物語 畑荷香訳 [新古文林・明治四〇年]
夢うつゝ 加藤碧瑠璃訳 [新声・明治四〇年]
紅死病 西村酔夢訳 [太陽・明治四〇年]
黄金虫 永原鉦斉訳 [日本及び日本人・明治四一年]
うづしほ 森鴎外訳 [文芸倶楽部・明治四三年]
影−比喩 平塚らいてう訳 [青鞜・明治四四年]
沈黙 平塚らいてう訳 [青鞜・明治四四年]
言葉の力 平塚らいてう訳 [青鞜・明治四四年]
黒猫 平塚らいてう訳 [青鞜・明治四四年]
エロスとチャーミオンの対話 平塚らいてう訳 [青鞜・明治四五年]
肖像画 平塚らいてう訳 [青鞜・明治四五年]
アモンティレードの樽 平塚らいてう訳 [青鞜・明治四五年]
仙女島 平塚らいてう訳 [青鞜・明治四五年]
群衆中の人 平塚らいてう訳 [青鞜・明治四五年]

明治翻訳文学年表(ポー編)

『東京大学三学部《西洋小説通》の行くえ』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(一)

【明治翻訳文学と私】『ポーは日本近代文学の恩人』 佐渡谷重信


第20巻 マーク・トウェイン集
トウェインの移入は、児童文学と英語研究の中で始まる。初めは、山縣五十雄が明治二五年に「皇子と乞食」を翻訳する。翻訳は、ほかに巌谷小波、原抱一庵、島村抱月、佐々木邦、深沢由次郎らが当たる。明治期児童文学研究に欠かせない一巻である。

生死如何 山縣五十雄訳 [少年文庫・明治二六年]
乞食王子 河山人訳、湖山人編、漣山人補綴[少年世界・明治三一年]
骸骨物語 小栗風葉翻案[太陽・明治三五年]
山家の恋 原抱一庵訳 [太陽・明治三六年]
奇夢 佐藤紅緑訳 [文芸界・明治三六年]
喜劇/恋と欲 斉藤紫軒訳 [文園・明治三七年]
落機山下の一怪譚 原抱一庵訳 [文芸界・明治三七年]
牧師ビーチャー君の農園 森ひぐらし訳 [文庫・明治三九年]
運 佐々木邦訳 [スバル・明治四二年]
千万円 佐々木邦訳 [文庫・明治四二年]
いつはり 小沢愛圀訳 [雄弁・明治四三年]
賭け蛙 佐々木邦訳 [文芸倶楽部・明治四五年]

『晩年の原抱一庵』 川戸道昭
     ―誤訳論争のあとさき―
【明治翻訳文学と私】『〈明治期〉マーク・トウェイン』 勝浦吉雄

明治翻訳文学年表(マーク・トウェイン編)


第21巻 バーネット集
バーネットといえばまず若松賤子訳「小公子」が浮かぶくらい有名だが、本書では容易に見ることのできない最初の訳「花蝶物語」(明治二一年)はじめ、「小公女」の二つの興味ある翻訳を収録。一つは賤子訳「セイラ、クルーの話」、もう一つは藤井白雲子訳「小公女」。前者の原著が最初の作で、後者の原著はそれを書き直して発表したもの。

欧州情話/花蝶物語 駝撫柳仙史訳 [大和錦・明治二一年一二月]
セイラ、クルーの話 若松賤子訳 [少年園・明治二六年九月]
「小公子」註釈 中澤臨川註釈[婦人界・明治三七年一月]
エヂサの同情 訳者不記[家庭の友・明治三八年一月]
小公女 藤井白雲子訳 [婦人くらぶ・明治四三年八月]

『バーネットと『小公女』』 川戸道昭
     ―若松賤子と藤井白雲子の翻訳をめぐって―
【明治翻訳文学と私】『バーネット作品の受容』 三宅興子

明治翻訳文学年表(バーネット編)


第22巻 アメリカ詩集
ロングフェロー、ホイットマンの詩を収める。ロングフェローは『新体詩抄』の訳に始まるが、その後も若松賤子、家永えい子、宮崎湖処子、植村正久、内村鑑三らによる多くの訳がでる。ホイットマンは三六年の鑑三、泡鳴、柳虹らの訳のほか、参考として受容史上重要な漱石、金子馬治、樗牛、鑑三のホイットマン論を収録して日本における詩人像の形成過程をも探る一巻とする。

【ロングフェロー編】
雨の日 中村由道訳 [女学雑誌・明治一九年]
世渡りの歌 若松賤子訳 [女学雑誌・明治一九年]
高きにすゝめ 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二三年]
田舎鍛冶 植村正久訳 [福音週報・明治二三年]
マイルス、スタンヂツシユの恋 山路愛山訳 [女学雑誌・明治二四年]
フロレンス、ナイチンゲール 戸川残花訳 [福音新報・明治二四年]
村鍛冶 宮崎湖処子訳 [少年園・明治二六年]
冬日 悠々訳 [日本人・明治三〇年]
アメリカ三大詩人 武島羽衣註釈[心の花・明治三二年]
里の小鍛冶 枯村白土訳 [福音新報・明治三二年]
愛鷹 ときは女史訳 [天地人・明治三二年]
ナイチンゲールを讚せる歌 訳者不記[東京評論・明治三四年]
ミューズの降下 尾上柴舟訳 [明星・明治三五年]
村の鍛冶 川俣馨一訳 [国学院雑誌・明治三五年]
エバンジュリン 河越輝子訳 [女鑑・明治三六年]
花あやめの歌 訳者不記[家庭雑誌・明治三七年]
軍神星 訳者不記[英文新誌・明治三八年]
国船 訳者不記[英文新誌・明治三八年]
軍神星 紫嵐訳 [文庫・明治三九年]
人生の歌 長谷川康訳 [英語の日本・明治四一年]
めざまし日記の一節 桜喬生訳 [明治の女子・明治四一年]
陶器 訳者不記[中外英字新聞・明治四二年]
人生の詩 内村鑑三訳 [聖書之研究・明治四五年]

【ホイツトマン編】
死に臨んで余の霊魂に告ぐ 内村鑑三訳 [聖書之研究・明治三六年]
露営のあした/愛児の消息 小山内薫訳 [新希望・明治三八年]
揺り籠から 岩野泡鳴訳 [文章世界・明治四一年]
楽のあらし 岩野泡鳴訳 [太陽・明治四一年]
夜、浜辺に 川路柳虹訳 [文庫・明治四一年]
ホイトマン散文詩二編 岩野泡鳴訳 [新声・明治四二年]
街道の歌 岩野泡鳴訳 [太陽・明治四二年]
これらを歌ひて 岩野泡鳴訳 [女子文壇・明治四二年]
草とは何? 金子健二訳 [心の花・明治四二年]
ホイツトマンの散文詩 八橋有春訳 [女子文壇・明治四四年]

【参考資料】
『ウオルト、ホイットマン』の詩について 夏目漱石 [哲学雑誌・明治二五年]
米国の新文豪ヲルト、ホイツトマン 金子馬治 [早稲田文学・明治二七年]
ホイットマン 無署名 [太陽・明治三一年]
ワルト、ホイツトマン 高山樗牛 [早稲田学報・明治三一年]
詩人ワルトホヰットマン 内村鑑三 [檪林集(聖書之研究)・明治四二年]

『内村鑑三訳詩集『愛吟』の位置』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十四)
【明治翻訳文学と私】『明治期におけるホイットマン受容の諸相』 鈴木保昭

明治翻訳文学年表(ロングフェロー編)
明治翻訳文学年表(ホイットマン編)


第23巻 モリエール集
一七世紀の最大の劇詩人で古典喜劇の完成者モリエールが、風俗習慣の異なる明治期日本にどのように受け入れられていったかは、異文化研究の上で極めて興味深い領域であるが、研究の歴史は浅い。モリエールの喜劇が松居松葉や草野柴二が中心となって活躍した明治二九年から三八年までに発表された翻訳一一点を収録する。

非意国手 西郷雲水訳 [[知徳会雑誌・明治二九年一一月]
おしつけ女房 西郷雲水訳 [[知徳会雑誌・明治三〇年一〇月]
気の病 西郷雲水訳 [[知徳会雑誌・明治三一年二月]
俄紳士 松居松葉訳 [[新小説・明治三一年九月]
恋は名医 榎本破笠訳 [文芸倶楽部・明治三五年一二月]
喜劇/倉吉 草野柴二訳 [明星・明治三七年七月]
喜劇/細君養成所 草野柴二訳 [明星・明治三七年八月]
喜劇/恋のお医者 平尾不孤訳 [新小説・明治三七年一二月]
喜劇/健闘家 草野柴二訳 [明星・明治三七年一二月]
喜劇/写真婿 佐藤紅緑訳 [文芸界・明治三八年二月]
脚本/御亭主学校 水田南陽訳 [中央週報・明治三八年五月]
喜劇/細君養成所是非 草野柴二訳 [明星・明治三八年六月]

『明治十年以前の流入状況について』 川戸道昭
     ―文学作品を中心に―
【明治翻訳文学と私】『フランス文化と明治期日本』 赤瀬雅子

明治翻訳文学年表(モリエール編)


第24巻 ユゴー集 T
ユゴーは明治の初めには、文学者というより、フランスの偉人、自由主義の闘士として理解された。作品も「自由新聞」「自由燈」に自由民権運動のなかで翻訳された。明治二〇年代に至ると森田思軒、宮崎湖処子が「国民之友」「国民新聞」紙上で発表していくが、自由主義の闘士であるユゴーに変わりはなかった。自由民権運動と文学とのかかわりを考察するために欠かせない巻である。

仏乱余聞/霜夜の月 無署名[自由燈・明治一八年]
隨見録 森田思軒訳 [国民之友・明治二一年]
探偵ユーベル 森田思軒訳 [国民之友・明治二二年]
秘密会議 廻瀾堂主人訳 [経世評論・明治二二年]
落魄 長沢別天訳 [筆之力・明治二二年]
クラウド 森田思軒訳 [国民之友・明治二三年]
懐旧 森田思軒訳 [国民之友・明治二五年]
山家水 田山花袋訳 [千紫万紅・明治二五年]
ジャンバルジァン 原抱一庵訳 [国民新聞・明治二五年]

『明治時代のヴィクトル・ユゴー』 川戸道昭
     ―森田思軒の邦訳をめぐって―
【明治翻訳文学と私】『フランス文学と私』 富田仁
【明治翻訳文学と私】『「青年老い難く、」』 松田穣

明治翻訳文学年表(ユゴー編)


第25巻 ユゴー集 U
明治一〇年代のユゴーは自由主義の闘士として理解されてきたが、二〇年代の中ごろからは文学者ユゴーの紹介が始まる。Uでは「青年文学」「なにはがた」「少年園」「文芸倶楽部」「帝国文学」などに発表された圭圓訳「銕腸翁」、抱一庵訳「ABC組合」「水、冥編」、卯の花庵訳「九十三年」、上田敏訳「良心」など一七点を収録する。

九十三 峰夏樹訳 [青年文学・明治二六年]
銕腸翁 長野一枝訳 [なにはがた・明治二六年]
ABC組合 原抱一庵訳 [少年園・明治二七年]
演劇を論じて戯曲に及ぶ 悠々庵訳 [少年文集・明治二九年]
暁鐘 原抱一庵訳 [太陽・明治二九年]
「水、冥」篇 原抱一庵訳 [文芸倶楽部・明治二九年]
死刑前の六時間 森田思軒訳 [国民之友・明治二九年]
ヴイクトル、ユーゴの書状三通 無署名[世界之日本・明治三○年]
九十三年 卯の花庵訳 [文芸倶楽部・明治三○年]
ウヲトルローの記 憶堂訳 [慶応義塾学報・明治三二年]
良心 上田敏訳 [帝国文学・明治三六年]
海上の悲劇 金子南冥訳 [心の花・明治三七年]
夜の窓 茨花訳 [明星・明治三七年]
エルナニ 松居松葉訳 [文芸倶楽部・明治三八年]
セダン回顧 中沢臨川訳 [新古文林・明治三八年]
アデールの君よ 田中紫江訳 [文庫・明治三八年]
くはし女/蝶は如何にして生れたる 小原無絃訳 [明星・明治三八年]

『慶応義塾と初期の西洋文学翻訳者』 川戸道昭
     ―慶応義塾出身明治期西洋文学翻訳者略伝―
【明治翻訳文学と私】『中江兆民とユーゴー』 飛鳥井雅道

明治翻訳文学年表(ユゴー編)


第26巻 デュマ父子集
自由党の機関誌「自由新聞」「自由燈」に桜田百衛、宮崎夢柳によって、デュマは紹介される。本書では、大デュマは夢柳訳「仏蘭西太平記/鮮血の華」(自由燈)を、また小デュマは「巴里情話/椿の俤」(函右日報)を軸に収録する。

【デュマ・ペール編】
仏蘭西太平記/鮮血の華 宮崎夢柳訳 [自由燈・明治一七年]
紅薔薇 山岸薮鴬訳 [太陽・明治二九年]
道楽殿様 山脇山月訳 [智徳会雑誌・明治三〇年]
木枯 雲水坊訳 [忍ぶ草・明治三一年]
九十九人 佐藤紅緑訳 [新声・明治三七年]
父の死(自叙伝の一節) 武田木兄訳 [明星・明治四〇年]

【デュマ・フィス編】
巴里情話/椿の俤 草廼戸主人訳 [函右日報・明治一七年]
椿夫人 内田魯庵訳 [世界之日本・明治二九年]
脚本/椿姫 田口掬汀訳 [文芸倶楽部・明治四四年]

『民権文学研究文献目録』 西田谷洋
【明治翻訳文学と私】『自由民権文学におけるデュマ』 西田谷洋

明治翻訳文学年表(デュマ父子編)


第27巻 ヴェルヌ集 T
ヴェルヌの翻訳は明治期日本人の科学的関心を喚起していった。最初の翻訳は川島忠之助が担当したが、その後は、おおむね井上勤と森田思軒の独壇場といった感がある。この巻は、主に「郵便報知新聞」を舞台に発表した思軒の翻訳で埋まっている。

仏、曼二学士の譚 森田思軒訳 [郵便報知新聞・明治二〇年]
天外異譚 森田思軒訳 [郵便報知新聞・明治二〇年]
煙波の裏 森田思軒訳 [郵便報知新聞・明治二〇年]
盲目使者 森田思軒訳 [郵便報知新聞・明治二〇年]
大東号航海日記 森田思軒訳 [国民之友・明治二一年]

明治翻訳文学年表(ヴェルヌ編)

『原書から見た明治の翻訳文学』 川戸道昭
     ―ジュール・ヴェルヌの英訳本を中心に―
【明治翻訳文学と私】『ヴィクトル・ユゴー移入前史』 倉智恒夫


第28巻 ヴェルヌ集 U
明治二〇年代のヴェルヌ翻訳は森田思軒の独壇場といえる。試みに本巻では思軒の翻訳を他と比較できるように、『神秘の島』の第一部を思軒訳(日本之少年掲載「入雲異譚」明治二六年)、第二部を古茅庵流水訳(世界之日本掲載「絶島秘事」明治三一年)を収めた。他には、思軒の「炭鉱秘事」「十五少年」などを収める。

炭坑秘事 森田思軒訳 [郵便報知新聞・明治二一年]
余が少時 森田思軒・山縣五十雄訳 [少年園・明治二四年]
入雲異譚 森田思軒訳 [日本之少年・明治二六年]
冒険奇談/十五少年 森田思軒訳 [少年世界・明治二九年]
絶島秘事 古茅庵流水訳 [世界之日本・明治三一年]

『西欧文学との出会い』 川戸道昭
     ―ジェイムズサマーズと東京開成学校の英文学講義―
【明治翻訳文学と私】『ヴェルヌの軌跡』 私市保彦
【明治翻訳文学と私】『いま、調べておかなくては……』 横田順彌

明治翻訳文学年表(ヴェルヌ編)


第29巻 ドーデ集
明治期のドーデの翻訳は私たちの調査で八〇点を超えたが、本集では二二年から三八年に発表された三〇点を収録する。鴎外訳の「緑葉の歎」「戦僧」「みくづ」「政治を憎む文」を始め、紅葉、孤蝶、独歩、花袋、秋声、薫などの訳を収録し、今日まで読み継がれているドーデと日本の静かな深いつながりを探る。

緑葉の歎 森鴎外・三木竹二訳 [読売新聞・明治二二年]
星 小金井喜美子訳 [日本之女学・明治二二年]
戦僧 森鴎外訳 [少年園・明治二二年]
みくづ 森鴎外訳 [国光・明治二三年]
政治を憎む文 森鴎外訳 [国民之友・明治二四年]
あだ波 馬場孤蝶訳 [世界之日本・明治二九年]
ツルゲーネフ 無署名[国民之友・明治三〇年]
おとゞひ 馬場孤蝶訳 [文芸倶楽部・明治三〇年]
たまくら 平田禿木訳 [文学界・明治三〇年]
誤解 徳富蘆花訳 [家庭雑誌・明治三一年]
擬ひ真珠 上村左川訳 [文芸倶楽部・明治三五年]
「擬ひ真珠」の後に題す 田山花袋訳 [文芸倶楽部・明治三五年]
夏の夜 馬場孤蝶訳 [明星・明治三五年]
隠家日記 馬場孤蝶訳 [明星・明治三五年]
球突 戸川秋骨訳 [帝国文学・明治三六年]
怠惰屋の弟子入り 国木田独歩訳 [東洋画報・明治三六年]
売家 田山花袋訳 [文芸倶楽部・明治三六年]
サホー 渡辺霞亭補訳 [文芸界・明治三七年]
間諜少年 田中嘯月訳 [慶応義塾学報・明治三七年]
怕い先生 鶉浜生訳 [慶応義塾学報・明治三七年]
あだなみ 生田星郊訳 [明星・明治三八年]
軍司令部 皚峰訳 [慶応義塾学報・明治三八年]
ゴム靴 徳田秋声訳 [新声・明治三八年]
戦争の跡 生田葵山訳 [女学世界・明治三八年]
余の知れるツルゲネッフ 荒木嘯羽訳 [太陽・明治三八年]
出京と初作 荒木嘯羽訳 [帝国文学・明治三八年]
二軒茶屋 小山内薫訳 [戦時画報・明治三八年]
鼓手 荒木嘯羽訳 [日露戦争写真画報・明治三八年]

『翻訳家としての馬場胡蝶』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十二)
【明治翻訳文学と私】『アルフォンス・ドーデと私』 富田仁
     ―兄弟愛が織りなす『ル・プティ・ショーズ』―

明治翻訳文学年表(ドーデ編)


第30巻 ゾラ集
明治二四年から二五年にかけて、逍遥と鴎外の間で没理想論争が起こり、ゾラの科学的客観主義について論争が行われた。ゾラはこの前後から毎年一、二点が翻訳され始め、三〇年代には堺枯川の紹介を通じて日本の社会主義運動にも影響を与えていく。明治期に五〇点ちかい訳があるが、本書では、二〇年代、三〇年代の魯庵訳「酒気」「戦塵」湖処子訳「牧園」松葉訳「大洪水」などを収録する。

酒鬼 内田魯庵訳 [女学雑誌・明治二二年]
((俄分限者))を読みて 菊痴居士訳 [日本之文華・明治二三年]
大洪水 松居松葉訳 [国民新聞・明治二五年]
春花秋月 松居松葉訳 [都の花・明治二五年]
牧園 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二六年]
わが死 木内愛渓生訳 [この花草紙・明治二六年]
大洪水 松居松葉訳 [文芸倶楽部・明治二九年]
近世の嫁入り 蝴蝶散士訳 [大日本・明治二九年]
戦塵 内田魯庵訳 [文芸倶楽部・明治三○年]
女ぎらひ 松居松葉訳 [文芸倶楽部・明治三一年]
大蔵大臣 戸川秋骨訳 [文芸界・明治三五年]

『明治時代の貸本屋』 川戸道昭
     ―その西洋文学の普及に与えた影響―
【明治翻訳文学と私】『ゾラと日本近代文学』 菅野昭正

明治翻訳文学年表(ゾラ編)


第31巻 モーパッサン集 T
明治期にモーパッサンがなぜかくも翻訳されたか、問うにたる。明治三〇年、「家庭雑誌」に築地庵主人が「首輪」を発表して以来、優に二百点を越す翻訳が新聞雑誌に発表された。訳者も独歩、秋骨、花袋、敏、是因、秋濤、悠々、紅葉、狐蝶、抱一庵、白鳥、薫、魯庵、荷風など。

首輪 築地庵主人訳 [家庭雑誌・明治三○年]
糸くづ 国木田独歩訳 [国民之友・明治三一年]
小説/二兵卒 田山花袋訳 [少年文集・明治三一年]
従卒 戸川秋骨訳 [読売新聞・明治三一年]
コルシカ島 田山花袋訳 [読売新聞・明治三一年]
野辺おくり 金子笹下庵訳 [早稲田文学・明治三一年]
文反古 上田敏訳 [帝国文学・明治三二年]
ゐろり火 上田敏訳 [帝国文学・明治三三年]
ふせやの雨 小日向是因訳 [帝国文学・明治三四年]
有髪尼 長田秋濤訳 [文芸倶楽部・明治三四年]
頸環 小日向是因訳 [帝国文学・明治三四年]
老農 田山花袋翻案[小天地・明治三四年]
小兵士 小日向是因訳 [帝国文学・明治三四年]
村長 田山花袋翻案[文芸倶楽部・明治三四年]
散歩 田山花袋訳 [明星・明治三五年]
死人の秘密 上村左川訳 [女学世界・明治三五年]
盲人 森しづか訳 [小天地・明治三五年]
懺悔 吉田荻洲訳 [明星・明治三五年]
五里霧中 上村左川訳 [太陽・明治三五年]
冬籠 桐生悠々訳 [文芸界・明治三五年]
老馬ココー 吉田荻洲訳 [明星・明治三五年]
常久のうらみ 馬場孤蝶訳 [新声・明治三五年]
老子爵 田山花袋訳 [文芸界・明治三五年]
ふながゝり 馬場孤蝶訳 [明星・明治三五年]

『「大陸文学」流行の位相』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(七)
『モーパッサンにおける近代とその受容』 榊原貴教
【明治翻訳文学と私】『自然主義文学と食後叢書』 秋山勇造

明治翻訳文学年表(モーパッサン編)


第32巻 モーパッサン集 U
翻訳が二百点を超えるモーパッサンの明治期の受容は、日本人が西洋近代をいかに理解してきたかを示している。その振幅は漱石の批評と荷風の熱狂との間にある。Uでは、明治三六年と三七年の二年間に訳された二八編を収録する。孤蝶、玉茗、花袋、流星、秋涛、青雨、枯柳らがこの二年間の翻訳翻案に当たっている。

ゆふ闇 馬場孤蝶訳 [小天地・明治三六年]
遺書 川上桜翠訳 [明星・明治三六年]
鐘の音 馬場孤蝶訳 [新声・明治三六年]
古手紙 大谷繞石訳 [明星・明治三六年]
浮浪者 太田玉茗訳 [太陽・明治三六年]
青春夢 中野紫紅訳 [新声・明治三六年]
月かげ 馬場孤蝶訳 [婦人界・明治三六年]
月の夜 馬場孤蝶訳 [明星・明治三六年]
大旦那若旦那 田山花袋訳 [太平洋・明治三六年]
水辺の森 上村左川訳 [文芸倶楽部・明治三六年]
兄弟 上村左川訳 [文芸倶楽部・明治三六年]
夢なりしか 厨川白村訳 [帝国文学・明治三六年]
コルシカの山賊 柴田流星訳 [新声・明治三六年]
白狼 栗原古城訳 [明星・明治三六年]
鵞鳥 木兄子訳 [明星・明治三六年]
月光 川上桜翠訳 [明星・明治三七年]
俘 むさし訳 [新声・明治三七年]
生弁天 長田秋濤訳 [文芸倶楽部・明治三七年]
砂漠の恋 太田玉茗訳 [文芸倶楽部・明治三七年]
一家族 なでしこ訳 [帝国文学・明治三七年]
大佐の意見 上村左川訳 [太陽・明治三七年]
懺悔 松井天南訳 [太陽・明治三七年]
まやかし物 香堂訳 [慶応義塾学報・明治三七年]
義勇軍 橋本青雨訳 [太陽・明治三七年]
豚林 長田秋濤訳 [文芸倶楽部・明治三七年]
夢かあらぬか 山田枯柳訳 [裏錦・明治三七年]
決闘 田中嘯月訳 [慶応義塾学報・明治三七年]
頸飾 前田古水訳 [婦人界・明治三七年]

【明治翻訳文学と私】『ローデンバックと上田敏』 村松定史

明治翻訳文学年表(モーパッサン編)


第33巻 フランス文学集
バルザック、フローベル、アナトール・フランスの三人を収める。フローベルの日本における最初の翻訳は、近代小説の記念碑的作品といわれる『ボヴァリー夫人』の訳であった。明治四一年に広瀬青波が「アカネ」に発表している。それに続き、生田長江、森鴎外が訳す。バルザック一〇点、フローベル六点、フランス九点収録。

【バルザック編】
心の隈 馬場孤蝶訳 [文芸倶楽部・明治三二年九月]
あき屋敷 上村左川訳 [文芸倶楽部・明治三四年四月]
仏国革命余譚/雪の一夜 鶉浜生訳  [慶応義塾学報・明治三五年一一月]
苦闘録 馬場孤蝶訳 [明星・明治三六年一月]
田鶴子 吉田荻洲訳 [明星・明治三六年三月]
フランドルに於ける基督 訳者不記[福音新報・明治三六年六月]
むごい助命 正宗白鳥訳 [文芸倶楽部・明治三六年八月]
野獣の愛情 小川煙村訳 [太陽・明治三六年九月]
狂画聖 内田魯庵訳 [太陽・明治三六年一〇月]
荒磯 小羊生訳 [慶応義塾学報・明治三七年一月]

【フローベール編 】
新婚後 広瀬青波訳 [アカネ・明治四一年五月]
舞踏会 広瀬青波訳 [アカネ・明治四一年六月]
妻 広瀬青波訳 [アカネ・明治四一年七月]
単純 生田長江訳 [新小説・明治四三年二月]
聖ジュリアン 森鴎外 訳 [太陽・明治四三年五月]
十一月のU 長沼重隆訳 [スバル・明治四四年一二月]

【フランス編】
手品使ひ 訳者不記[文章世界・明治四二年二月]
無題十七章 生田長江訳 [帝国文学・明治四二年四月]
舞姫タイス 水上夕波訳 [心の花・明治四二年五月]
抵当 若月紫蘭訳 [帝国文学・明治四三年三月]
ユダヤの女 別所梅之助訳 [新女界・明治四三年六月]
上臈 馬場孤蝶訳 [学生文芸・明治四三年一一月]
零碎録 みどり訳 [雄弁・明治四四年一〇月]
影の法会 山本禿坪訳 [スバル・明治四四年一〇月]
ゲスタス 山本禿坪訳 [スバル・明治四四年一二月]

『「あとがき」風に』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十九)
【明治翻訳文学と私】『日本の明治時代と十九世紀フランス文学』 渡辺響子

明治翻訳文学年表(フランス編)
明治翻訳文学年表(フローベール編)
明治翻訳文学年表(バルザック編)


第34巻 ゲーテ/ハイネ集
ゲーテの「若きヴェルテルの悩み」は、明治二二年の錦城訳「旧小説」から始まり、樗牛訳「准亭郎の悲哀」、緑堂訳「わかきヱルテルがわづらひ」、その他断片的ながら多くの翻訳が発表された。ゲーテの詩も多い。一方、ハイネは詩作品ゆえ、あまり目立たぬが、三〇編以上の翻訳がある。この二作家の作品が、日本のロマン主義の一つの源流となっていったことは間違いない。

【ゲーテ編】
ミニヨンの歌 SSS訳 [国民之友・明治二二年]
旧小説 中井錦城訳 [新小説・明治二二年]
「ヘルマン・ウント・ドロテア」の梗概 山東生訳  [しがらみ草紙・明治二二年]
伊太利の佳人 愛軒居士訳 [女学雑誌・明治二二年]
愛国余譚 鈍廼風流士訳 [文明の母・明治二三年]
のばら 鍾礼舎訳 [国民之友・明治二三年]
妖魔王 大竹みどり訳 [少年園・明治二四年]
わかきヱルテルがわづらひ 緑堂野史訳 [しがらみ草紙・明治二六年]
悲劇「ファウスト」 大野洒竹訳 [国民之友・明治三〇年]
花がたみ 忘我訳 [帝国文学・明治三一年]
ヘルマン、ウント、ドロテーアの梗概 船尾栄太郎訳  [慶応義塾学報・明治三二年]
独詩評釈(涙中の楽) 内海月杖訳 [明星・明治三三年]
フワウスト 山田枯柳訳 [裏錦・明治三三年]
ゲーテがスタイン夫人に送れる文の中より 大塚楠緒子訳  [心の花・明治三四年]
独詩評釈(涙の慰藉) かげろふ訳 [心の花・明治三四年]
西の歌屑(旅人がうたへる夜の歌/おなじく) かげろふ訳 [心の花・明治三五年]
健気なる少女 柴田守中訳 [明星・明治三五年]
文のゆきかひ(ゲーテとカーライルと) 野田まづま訳 [文芸界・明治三五年]
悲曲怨の刃 福智山人・紫雲村舎主人訳 [新小説・明治三六年]
淮亭郎の悲哀 高山樗牛訳 [帝国文学・明治三六年]
春の歌(無題) 疑独庵訳 [政教時報・明治三六年]
旅人の夜歌/幸福なる航海/希望/魔王 疑独庵訳 [政教時報・明治三六年]
涙の慰藉/海浜の秋夜 瓠樽訳 [政教時報・明治三六年]
おも影(若きエルテルの煩悶の一節) まこと訳 [心の花・明治三七年]
哀詩 萍雨訳 [文庫・明治三七年]
羅馬悲歌集の中より 天壇訳 [白百合・明治三七年]
水の霊 金子南冥訳 [心の花・明治三七年]
かへり花(慰藉の涙) 秋元蘆風訳 [文庫・明治三七年]
はながつみ(流れに/旅人の夜のうた) おぼろづきよ訳 [明星・明治三七年]
小詩二曲(無題) おぼろづきよ訳 [明星・明治三八年]
楽師 山岸求園訳 [白百合・明治三八年]
哀歌 田中紫江訳 [文庫・明治三八年]
最期の手紙 英男訳 [文庫・明治三八年]
新妻の夜 天壇訳 [白百合・明治三八年]
「あふさくるさ」 山岸求園訳 [白百合・明治三八年]
水 落合東郭漢訳 [心の花・明治三八年]
雲の歌 天壇訳 [白百合・明治三八年]
ミニヨンの歌 山岸求園訳 [白百合・明治三八年]
最後の書簡 田中紫江訳 [新声・明治三八年]
訳詩二章(海の静寂) 氏家摩琴訳 [心の花・明治三八年]
抄訳二篇(不死不滅/貞操) 原青草訳 [明星・明治四○年]
歓迎哀別 三井甲之訳 [アカネ・明治四一年]
やすみ無き恋/旅人の夜の歌/見出しぬ 塩山訳 [アカネ・明治四一年]
新しき恋、新しき生活 塩山訳 [アカネ・明治四一年]
羅馬の謝肉祭 山本迷羊訳 [新小説・明治四一年]
五月の歌/野薔薇 塩山訳 [アカネ・明治四一年]
ゼーゼンハイムへ/夏の夜 塩山訳 [アカネ・明治四一年]
海辺の秋の夜 塩山訳 [アカネ・明治四一年]
初恋 塩山訳 [アカネ・明治四二年]
夕暮と雨との詩(美し夜) 青山郊汀訳 [帝国文学・明治四四年]

【ハイネ編】
あまをとめ 森鴎外訳 [国民之友・明治二二年]
「ロオレライ」 踏青軒主人訳 [海潮・明治二四年]
ロレライの歌 雲峯訳 [女学雑誌・明治二四年]
ローレライ 紫苑山人訳 [女学雑誌・明治二五年]
新詩(うらみ) 桐生悠々訳 [日本人・明治三○年]
ハイネが詩 太田玉茗訳 [文芸倶楽部・明治三○年]
ハイネが詩(恋のかばね/わかれ/鶯の歌) 太田玉茗訳 [少年文集・明治三一年]
花がたみ(皐月の野辺) 忘我訳 [帝国文学・明治三一年]
ハイネが詩(絵すがた/君がこゝろ/ほか) 太田玉茗訳 [少年文集・明治三一年]
ハイネが詩(夢がたり/君が姿/ほか) 太田玉茗訳 [少年文集・明治三一年]
独詩評釈(あまをとめ) 内海月杖訳 [明星・明治三三年]
独詩評釈(薄暮) 内海月杖訳 [明星・明治三三年]
妖姫 久保青琴漢訳 [明星・明治三三年]
独詩評釈(牧童) 内海月杖訳 [明星・明治三三年]
ハイネが詩(憂世の旅/少女/ほか) 太田玉茗訳 [文芸倶楽部・明治三三年]
はま辺 紅雪訳 [心の花・明治三四年]
西の歌屑(無題) かげろふ訳 [心の花・明治三五年]
西詩断片(無題) かげろふ訳 [心の花・明治三五年]
破船者 孤松生訳 [文芸界・明治三五年]
蕉影(無題) 尾上柴舟訳 [明星・明治三五年]
夢路 かげろふ訳 [心の花・明治三五年]
くらら姫 大塚楠緒子訳 [明星・明治三六年]
明眸(無題) 尾上柴舟訳 [帝国文学・明治三六年]
春の歌/蓮の花 疑独庵訳 [政教時報・明治三六年]
蜑のとまや 尾上柴舟訳 [新声・明治三六年]
ハイネ三章(無題) おもはれ人訳 [明星・明治三七年]
はいね三章(無題) おもはれびと訳 [明星・明治三七年]
神詣で 月袖痴人訳 [ハガキ文学・明治三七年]
花の少女 上田敏訳 [音楽・明治三八年]
フラウ、メツテ 白潮子訳 [新声・明治三八年]
訳詩三章(海辺にて) 逸名子訳 [白百合・明治三八年]
ハインリヒ 熊本謙二郎訳注[英語の日本・明治四一年]
ハイネの詩(あま少女/春の歌/弥生) 永井潜訳 [心の花・明治四一年]

【明治翻訳文学と私】『ハイネと日本』 鈴木和子

明治翻訳文学年表(ゲーテ/ハイネ編)


第35巻 シラー集
シラーの受容は、一〇年代は自由民権運動の高揚の中で『ウィルヘルム・テル』の翻訳から始まったが、二〇年代に至ると福地桜癡を端緒とする、自己の運命に諦観し刑場に赴く『メアリー・スチュアート』の訳がしばしば為される。また、鴎外、樗牛、抱月らの美学研究の影響なのか、詩が多く訳された。それらの動静を本巻に収める。

希望 可行生訳 [国民之友・明治二二年]
シルレル短詩五首 訳者不記[国民之友・明治二二年]
シルレルの短詩五首 訳者不記[国民之友・明治二二年]
野辺おくりの歌の解 や・た訳 [以良都女・明治二二年]
鐘歌失火節翻訳並に評釈 遠湖居士訳 [文則・明治二四年]
可憐嬢 石松子訳 [女学雑誌・明治二五年]
愛の光 美登里訳 [青年文学・明治二五年]
アルペン山の猟夫 大和田建樹訳 [日本之少年・明治二七年]
マリア、スチュアルト 自適・指月訳 [国民之友・明治二九年]
コルムブス 竹の舎訳 [海国少年・明治三〇年]
ウィルヘルム、テル 中内蝶二訳 [新文芸・明治三四年]
少女の歎 中村健一郎訳 [心の花・明治三四年]
オルレアンのをとめ mSS訳 [心の花・明治三四年]
猟夫 柴田守中訳 [明星・明治三五年]
騎士 柴田守中訳 [明星・明治三五年]
人質 柴田守平訳 [新声・明治三六年]
ウィルヘルム、テルの概略 新保一村訳 [少年界・明治三六年]
詩人と自然 残月訳 [裏錦・明治三七年]
喜劇/叔乎姪乎 橋本青雨訳 [文芸倶楽部・明治三八年]
沈勇 英男訳 [文庫・明治三八年]
精舎 厨川白村訳 [白百合・明治三八年]
悲劇/メリー女皇 桜井鴎村訳 [英文新誌・明治三八年]
誰が罪 橋本青雨訳 [帝国文学・明治三八年]
芸術の使命 白潮子訳 [新声・明治三八年]
イビュクスの鶴 川下江村訳 [明星・明治三八年]
ヘロオとレアンデル 星堂子訳 [明星・明治三八年]
群盗 仲野秀治訳 [文章世界・明治三九年]
猟人 潮音訳 [アカネ・明治四一年]

【明治翻訳文学と私】『シルレルの実像』 池内紀
【明治翻訳文学と私】『シラーと女性読者』 渡邊洋子

明治翻訳文学年表(シラー編)


第36巻 プーシキン/レールモントフ集
ロシア文学はプーシキンから始まる。だが、日本のプーシキン受容は明治期に『大尉の娘』を高須治助がいち早く訳すが、その後はツルゲーネフ、トルストイらの影に隠れた感がある。それは日本の国民文学が近代化を急ぐあまりに、近代文学創成の秘密より、完成されたものの模倣に陥った弊ともいえる。プーシキン受容史は日本文学をネガで見る趣きがある。

【プーシキン編】
偽皇子 石川残月庵訳 [裏錦・明治二六年]
御苑の露 林丘子訳 [裏錦・明治二六年]
漁夫と魚との童物語 嵯峨の屋お室訳 [家庭雑誌・明治二六年]
アンヂェロ 無名氏訳 [裏錦・明治二八年]
うき草(冬の夜の野道) 嵯峨の屋お室訳 [中学世界・明治三三年]
漁夫物語 佐泊氏訳 [女鑑・明治三五年]
すて児 橋本青雨訳 [新潮・明治三八年]
葬具師 八風訳 [心の花・明治三九年]
三枚札 小宮破霄訳 [明星・明治三九年]
決闘 梧桐夏雄訳 [帝国文学・明治四〇年]
駅遞局長 荒井恒雄訳 [帝国文学・明治四〇年]
一撃 与謝野寛・茅野蕭々訳 [新小説・明治四二年]
葬儀屋 魚住衛訳 [帝国文学・明治四三年]

【レールモントフ編】
カザツクの児守歌 嵯峨の屋お室訳 [少年園・明治二四年]
ぬけうり 森鴎外 訳 [しがらみ草紙・明治二五年]
アシュク、ケリブ 影竹子訳 [裏錦・明治二八年]
ソンネツト 加島汀月訳 [新声・明治三六年]
宿営の二夜 ゆき子[軍事界・明治三六年]
カフカズの囚はれ人 加島汀月訳 [文芸界・明治三七年]
東方物語 嵯峨の屋お室訳 [文芸倶楽部・明治三八年]
宿命論者 栗林枯村訳 [新古文林・明治三八年]
宿命論者 森鴎外 訳 [明星・明治四〇年]

『小金井きみ子訳「浴泉記」』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十五)
【明治翻訳文学と私】『ここに日本プーシキン学会ありて』 笠間啓治
【明治翻訳文学と私】『レールモントフと正宗白鳥』 松本鶴雄

明治翻訳文学年表(プーシキン編)
明治翻訳文学年表(レールモントフ編)


第37巻 ゴーゴリ集
明治二八年「国民新聞」に発表した徳冨蘆花の訳「老武者」、二葉亭の「肖像画」「むかしの人」「狂人日記」を中心に明治二七年から四四年までの翻訳を集成。「裏錦」「太陽」「天地人」「早稲田文学」「演芸画報」等から八点収録する。芥川龍之介の初期作品に大きな影響を及ぼしたゴーゴリの明治期移入の全体像を編集した。

カザックの鉄騎 残月庵主人訳 [裏錦・明治二七年]
老武者 徳冨蘆花訳 [国民新聞・明治二八年]
肖像画 二葉亭四迷訳 [太陽・明治三〇年]
諷刺小説/狂人日記 今野愚公訳 [天地人・明治三二年]
むかしの人 二葉亭四迷訳 [早稲田文学・明治三九年]
狂人日記 二葉亭四迷訳 [趣味・明治四〇年]
外套 西本翠蔭訳 [文芸倶楽部・明治四二年]
喜劇/求婚 高須梅渓訳 [演芸画報・明治四四年]

明治期ロシア文学翻訳年表稿

明治翻訳文学年表(ゴーゴリ編)


第38巻 トルストイ集 T
ツルゲーネフに続いて日本に紹介されたロシア文学者はトルストイであった。明治一九年に森體訳『北欧血戦余塵』、二二年に鴎外の「瑞西館に歌を聞く」に始まり、多くの作品が翻訳され、現代に至るまで深い影響を与えた。単行本で刊行された点数も多いが、新聞雑誌に発表された作品も多い。日本におけるトルストイアンがどのようにして生まれてきたかを、翻訳でその足跡をたどる。

瑞西館に歌を聞く 森鴎外訳 [読売新聞・明治二二年]
黄金鳥 松居松葉訳 [国民新聞・明治二五年]
春風裡 内田魯庵訳 [女学雑誌・明治二六年]
おひたちの記 林丘子訳 [裏錦・明治二六年]
悽涙 内田魯庵訳 [国民之友・明治二六年]
小児と馬術の稽古 石川残月庵訳 [国民新聞・明治二六年]
二人の老翁 操岳仙史訳 [裏錦・明治二七年]
春宵小話 訳者不記[家庭雑誌・明治二七年]
靴師 小西増太郎訳 [国民之友・明治二七年]
名曲クレーツェロワ 小西増太郎・尾崎紅葉訳 [国民之友・明治二八年]
スレトの珈琲店 小西増太郎訳 [国民之友・明治二九年]
断崖 太田玉茗訳 [太陽・明治二九年]

『トルストイと日本』 小山ブリジット
【明治翻訳文学と私】『ロシア文学と日本』 川端香男里

明治翻訳文学年表(トルストイ編)


第39巻 トルストイ集 U
Tでは、明治二〇年代の翻訳を収録した。Uはそれに続く明治三〇年から三五年までに発表された翻訳を収める。この後にも夥しい訳が発表されるが、入手困難な時代のものを優先し、魯庵、嵯峨の家、天渓、夏葉、煙村らが「大日本」「裏錦」「東京評論」「女学世界」「文薮」「婦人界」などに発表した作品を収録する。

二人巡礼 内田魯庵訳 [大日本・明治三〇年]
労働 松濤庵主人訳 [裏錦・明治三〇年]
天国の門 キ、エ訳 [裏錦・明治三〇年]
マリチク、ス、パリチク 有坂生訳 [家庭雑誌・明治三〇年]
スラートの珈琲店 常北生訳 [裏錦・明治三〇年]
代子(クレーストウニク) 瀬尾生訳 [裏錦・明治三〇年]
浮沈 軍治柳蔭訳 [裏錦・明治三〇年]
囚人 瀬尾枕水訳 [裏錦・明治三一年]
侵入 安孫子貞治郎訳 [東京評論・明治三四年]
あはれ支那人 質軒居士訳 [太陽・明治三四年]
うつゝの夢 丹下時子訳 [女学世界・明治三四年]
セバストウポルの火花 嵯峨の家訳 [太陽・明治三四年]
セバストウポルの落城 嵯峨の屋主人訳 [太陽・明治三四年]
大悪魔と小悪魔 長谷川天渓訳 [少年世界・明治三五年]
夜と朝 森しづか訳 [小天地・明治三五年]
アンナカレーニナ 瀬沼夏葉・尾崎紅葉訳 [文藪・明治三五年]
新竹取物語 武田桜桃訳 [女学世界・明治三五年]
三老人 小川煙村訳 [婦人界・明治三五年]

【明治翻訳文学と私】『トルストイと泉鏡花』 中本信幸

明治翻訳文学年表(トルストイ編)


第40巻 ツルゲーネフ集 T
言文一致体の最も早い作品として二葉亭の翻訳「あいびき」が明治二一年に「国民之友」誌上で発表されたが、日本におけるツルゲーネフの人気は高く、明治四五年間まで絶えることなく、毎年幾点かの翻訳が発表されていく。まさしく日本文学の小説技法の模範となった作家といっていい。

あいびき 二葉亭四迷訳 [国民之友・明治二一年]
めぐりあひ 二葉亭四迷訳 [都の花・明治二一年]
憂国憐才/美人草 佐波武雄訳 [日本之時事・明治二二年]
馬鹿な男 森鴎外訳 [日本之文華・明治二三年]
羅馬 森鴎外訳 [東京中新聞・明治二三年]
二羽の鳩 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二三年]
該撒 森鴎外訳 [文則・明治二四年]
露国文豪ツールゲネフの書翰 林丘子訳 [裏錦・明治二六年]
林と野と 探美生訳 [しがらみ草紙・明治二七年]
唖の恋 嵯峨の家お室翻案[国民之友・明治二九年]
かきおき 嵯峨の家お室翻案[国民之友・明治二九年]
実業王と其子 嵯峨の家お室翻案[国民之友・明治二九年]
ツルゲーネフ氏随見随記 竹村智童訳 [国民之友・明治三○年]
夢がたり 二葉亭四迷訳 [文芸倶楽部・明治三○年]
時計 竹村智童訳 [国民之友・明治三○年]
猶太人 二葉亭四迷訳 [国民之友・明治三一年]
無一文 古松軒主人訳 [裏錦・明治三一年]
散文詩 上田敏訳 [心の花・明治三四年]
おもかげ 上村左川訳 [文芸倶楽部・明治三四年]

『明治ジャーナリズムのなかのツルゲーネフ』 柳富子

明治期翻訳文学年表(ツルゲーネフ編)


第41巻 ツルゲーネフ集 U
Tで二葉亭、鴎外の翻訳時代を紹介したが、Uでは明治三〇年代後半のおびただしい翻訳の中から、嵯峨の屋おむろ、瀬沼夏葉、国木田独歩、田山花袋、窪田空穂、藤井紫影らの翻訳を収録する。ツルゲーネフは明治期を通じて一四〇点以上翻訳発表された。

死 武井自適訳 [明星・明治三五年]
ツルゲエネフ小品 r沼夏葉・尾崎紅葉訳 [新小説・明治三五年]
いまはの恋 白水郎訳 [心の花・明治三五年]
髑髏 瀬沼夏葉訳 [俳薮・明治三五年]
雨窓奇談 嵯峨の家お室訳 [太陽・明治三五年]
非凡人 国木田独歩訳 [小天地・明治三五年]
鳥うち 加島汀月訳 [文芸界・明治三五年]
悲痛の調 田山花袋翻案[文芸倶楽部・明治三五年]
世のをはり 栗原古城訳 [明星・明治三五年]
雀 栗原古城訳 [明星・明治三六年]
郡の医者 嵯峨の家お室訳 [太陽・明治三六年]
白鳩 栗原古城訳 [明星・明治三六年]
海上 蜻蛉子訳 [心の花・明治三六年]
山媛 栗原古城訳 [明星・明治三六年]
恋 内海月杖訳 [明星・明治三六年]
生ける屍 窪田通治訳 [新声・明治三六年]
山番 嵯峨の家主人訳 [文芸倶楽部・明治三六年]
おとなひ 栗原古城訳 [明星・明治三六年]
隣の家 嵯峨の家お室訳 [女学世界・明治三六年]
夢まぼろし 山田枯柳訳 [裏錦・明治三七年]
露国小説/二度恋 雄島浜太郎・木村北溟訳 [新小説・明治三七年]
おとづれ 内海月杖訳 [明星・明治三七年]
虚影 吉川英男訳 [帝国文学・明治三七年]
すゞめ(ツルゲエネフ小品) 夏葉女史訳 [裏錦・明治三七年]
海のほとり 山田枯柳訳 [裏錦・明治三七年]
散文詩 藤井紫影訳 [帝国文学・明治三七年]
夕座 内海月杖訳 [明星・明治三七年]
散文詩(マアシヤ) 藤井紫影訳 [白百合・明治三七年]

『国木田独歩に関する比較文学研究』 中林良雄 
     ―西洋文学受容史のために(四)
『明治ジャーナリズムのなかのツルゲーネフ補注』 柳富子 
【明治翻訳文学と私】『嵯峨の屋おむろの翻訳態度』 籾内裕子
【明治翻訳文学と私】『芥川龍之介・「猟人日記」・白柳秀湖』 庄司達也

明治翻訳文学年表(ツルゲーネフ編)


第42巻 チェーホフ集 T
チェーホフは明治三七年に没するが、その年から明治年間の九年に、百点を越える翻訳が発表される。Tでは「月と人」「里の女」「叱ッ!」「余計者」「艶福男」など瀬沼夏葉の翻訳を中心にして、悠々、渚山、紫影など明治三〇年代の翻訳を収録する。今も日本人に好まれるチェーホフ像の導入期を一望できるようにする。

月と人 瀬沼夏葉・紅葉訳 [新小説・明治三六年]
写真帖 夏葉女史・紅葉山人訳 [新小説・明治三六年]
配所の月 桐生悠々訳 [太陽・明治三七年]
不運くらべ 正宗白鳥訳 [太陽・明治三七年]
流人 角田浩々歌客訳 [新小説・明治三七年]
里の女 瀬沼夏葉訳 [文芸倶楽部・明治三七年]
叱ッ! 瀬沼夏葉訳 [心の花・明治三七年]
余計者 瀬沼夏葉訳 [新小説・明治三七年]
黒衣僧 薄田斬雲訳 [太陽・明治三七年]
変り者 桐生悠々訳 [文芸界・明治三七年]
艶福男 瀬沼夏葉訳 [心の花・明治三八年]
虚偽 胆山生訳 [慶応義塾学報・明治三八年]
睡魔 西村渚山訳 [太陽・明治三八年]
村役場 瀬沼夏葉訳 [心の花・明治三九年]
大事件 藤井紫影訳 [帝国文学・明治三九年]
猫児 なでしこ訳 [新古文林・明治三九年]
六号室 瀬沼夏葉訳 [文芸界・明治三九年]
稚き伴侶 桐谷生訳 [趣味・明治三九年]
胡蝶 草野柴二訳 [太陽・明治三九年]
猫児 岡村野水訳 [新古文林・明治四〇年]
小猫 茅野蕭々訳 [明星・明治四〇年]
泥鴨 草野柴二訳 [太陽・明治四〇年]
決闘 小山内薫訳 [新思潮・明治四〇年]

『「『蒲鞭』論争」は第二の誤訳論争か』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十一)
【明治翻訳文学と私】『TranslatorよりもInterpreter』 中本信幸

明治翻訳文学年表(チェーホフ編)


第43巻 チェーホフ集 U
三〇年代に引き続き夏葉は、精力的に翻訳するが、加えて小山内薫のチェーホフ翻訳が盛んになる。訳者も多岐に渉っていくが、発表の舞台も「女子文壇」「女鑑」「青鞜」「東亜の光」「開拓者」「アララギ」「心の花」といった文芸雑誌以外にも広がり、裾野を広げていく。明治四一年以降の翻訳二七点を収め、現代日本においても根強い人気のある明治期チェーホフの全体像を二巻で俯瞰できるようにする。

家庭教師 堀竹雄訳 [東亜の光・明治四一年]
たはむれ 瀬沼夏葉訳 [心の花・明治四一年]
悪行 小山内薫訳 [明星・明治四一年]
父 生田長江訳 [趣味・明治四一年]
官吏の死 瀬沼夏葉訳 [女子文壇・明治四一年]
コブリン博士 大内白月訳 [文庫・明治四一年]
宿縁 吉田白甲訳 [帝国文学・明治四一年]
良犬 瀬沼夏葉訳 [女子文壇・明治四一年]
村役場 瀬沼夏葉訳 [女鑑・明治四一年]
唱歌女 草野柴二訳 [開拓者・明治四一年]
彼女だ! 瀬沼夏葉訳 [心の花・明治四二年]
下女が婚礼する 楠山正雄訳 [新声・明治四二年]
牡蠣 馬場孤蝶訳 [慶応義塾学報・明治四二年]
きやめれおん 荒野放浪訳 [太陽・明治四二年]
小説/二つの悲劇 広津和郎訳 [文芸倶楽部・明治四三年]
愛らしい人 松山強訳 [開拓者・明治四三年]
惨 藤井紫影訳 [芸文・明治四三年]
遁走 藤井紫影訳 [芸文・明治四四年]
チェホフの『三人姉妹』 吹田蘆風訳 [心の花・明治四四年]
愛 土岐哀果訳 [創作・明治四四年]
牡蠣 長塚節訳 [アララギ・明治四五年]
初きらはれ 長塚節訳 [アララギ・明治四五年]
脚本/叔父ワーニヤ 瀬沼夏葉訳 [青鞜・明治四五年]
知人 呉野潮音訳 [心の花・明治四五年]
眠 呉野潮音訳 [心の花・明治四五年]
異国 伊東六郎訳 [帝国文学・明治四五年]
親族会議 月露女訳 [東亜の光・明治四五年]
暗闇 伊東六郎訳 [帝国文学・明治四五年]

『正宗白鳥とチェーホフ』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十六)
【明治翻訳文学と私】『「アントン・チェーホフ展」のこと』 灰谷慶三

明治翻訳文学年表(チェーホフ編)


第44巻 ゴリーキー集
明治三五年の「野菊」(処女作「マカール、チュドラー」の訳)が日本における初訳と思われる。ちょうど『どん底』がモスクワで初演された年であった。この訳に続き明治期におびただしいゴーリキーの翻訳が現れる。本書では楠緒子、孤蝶、二葉亭、秋声、堺利彦など明治期のゴーリキー移入が俯瞰できるように三四編を収録。

野菊 訳者不記[慶応義塾学報・明治三五年三月]
古王宮 訳者不記[慶応義塾学報・明治三五年五月]
藻屑 大塚楠緒子訳 [明星・明治三五年六月]
今昔 森しづか訳 [小天地・明治三五年七月]
変物 森皚峰訳 [慶応義塾学報・明治三五年七月]
海の藻屑 桐生悠々生訳 [太陽・明治三五年八月]
老女 上田敏訳 [芸文・明治三五年八月]
秋の一夜 馬場孤蝶訳 [明星・明治三五年九月]
行列 栗原古城訳 [明星・明治三七年一〇月]
高原の黒夜 国府犀東訳 [太陽・明治三七年一一月]
猶太人の浮世 二葉亭四迷訳 [太陽・明治三八年二月]
悪魔 中尾漕浦訳 [新日本・明治三八年三月]
箒木 鳥径訳 [明星・明治三八年六月]
ウォルガの河霧 徳田秋江訳 [新古文林・明治三八年七月]
浪 三津木春影訳 [文庫・明治三八年一一月]
悪魔 自笑軒不醉訳 [裏錦・明治三八年一一月]
時 徳田秋声訳 [新声・明治三九年五月]
人の命 野上臼川訳 [帝国文学・明治三九年五月]
ころころ石 西村醉夢訳 [太陽・明治三九年七月]
野中の一夜 村山鳥逕訳 [明星・明治三九年一〇月]
曠野 梧桐夏雄訳 [帝国文学・明治三九年一〇月]
善魔 自笑軒主人訳 [裏錦・明治四〇年一月]
小猫 痩迂叟訳 [文庫・明治四〇年五月]
あだ枕 馬場孤蝶訳 [太陽・明治四〇年七月]
乞食 二葉亭四迷訳 [趣味・明治四〇年七月]
堤防工事 中島孤島訳 [太陽・明治四〇年九月]
「カムレード」の梗概 堺利彦訳 [新声・明治四一年一月]
生命の法廷 深井天川訳 [心の花・明治四一年五月]
驕れる女 橋本青雨訳 [新声・明治四一年五月]
春調 神崎沈鐘訳 [新声・明治四二年二月]
乞食心 無繋生訳 [新女界・明治四二年一一月]
情夫 高瀬精太訳 [趣味・明治四二年一二月]
相棒 本間久訳 [スバル・明治四三年六月]
老婆イゼルギル 仲田勝之助訳 [創作・明治四四年三月]
亡霊 林久男訳 [帝国文学・明治四五年五月]

【明治翻訳文学と私】『二葉亭四迷訳・ゴーリキー『猶太人の浮世』を読んで』 安藤厚

明治翻訳文学年表(ゴーリキー編)


第45巻 ドストエフスキー集
ドストエフスキーの作品は、近代が生み出したすぐれた文学世界であった。しかし明治期日本人にとっては、深刻な文学の一つに過ぎない。それは日本の社会がいまだ近代化の過程にあり、近代を他者として望見できたからだろう。この明治人の特殊な立場が、あるいは今日問われている「近代」世界を直視するもう一つの目を与えてくれるかもしれない。魯庵訳「損辱」瀬沼恪三郎訳「胸算用」夏葉訳「貧しき少女」孤蝶訳「小児の心」「博徒」など一三点を収録する。

損辱 内田魯庵訳 [国民之友・明治二七年]
胸算用 瀬沼恪三郎訳・尾崎紅葉補綴[文芸界・明治三五年]
夢現境 橋本青雨訳 [帝国文学・明治三六年]
貧しき少女 瀬沼夏葉訳 [文芸倶楽部・明治三七年]
耶蘇降誕祭 摩琴訳 [心の花・明治三七年]
女主人 山田枯柳訳 [裏錦・明治三九年]
移転 上村清延訳 [帝国文学・明治三九年]
花嫁 茅野蕭々訳 [明星・明治四○年]
小児の心 馬場孤蝶訳 [明星・明治四一年]
博徒 馬場孤蝶訳 [明星・明治四一年]
クリスマスの夜 斉藤野の人訳 [開拓者・明治四一年]
囚徒 阿部幹三訳 [学生文芸・明治四三年]
クリスマス 山本迷羊訳 [帝国文学・明治四四年]

【明治翻訳文学と私】『二つのパラダイム転換』 清水孝純

明治翻訳文学年表(ドストエフスキー編)


第46巻 アンデルセン集
明治二一年の巌本善治訳「不思議の新衣装」は「女学雑誌」に発表されたが、続いて「国のもとゐ」「しがらみ草紙」「幼年雑誌」「文学界」「文芸倶楽部」「家庭雑誌」「太陽」「少年文集」「明星」「帝国文学」「文芸界」「心の花」「少年世界」「新声」「白百合」「早稲田文学」に次々と翻訳されていく。アンデルセン文学の受容の歴史を一望する一巻である。(刊行後、明治一九年の初訳二点、二〇年の訳二点を発掘したので、単行書、新聞雑誌に発表されたものを作品別に編集しなおし、『明治期アンデルセン童話翻訳集成』全五巻として、ナダ出版センターより刊行。)

不思議の新衣裳 巌本善治訳 [女学雑誌・明治二一年]
王宮 小金井喜美子訳 [国のもとゐ・明治二二年]
かげ草 小金井喜美子訳 [しがらみ草紙・明治二三年]
極楽園 巌谷小波訳 [幼年雑誌・明治二五年]
即興詩人 森鴎外訳 [しがらみ草紙・明治二五年]
ビン物語 巌谷小波訳 [幼年雑誌・明治二六年]
スミルナの花 平田禿木訳 [文学界・明治二七年]
花の復讐 太田玉茗訳 [文芸倶楽部・明治三〇年]
翁媼談 加藤とよせ訳 [家庭雑誌・明治三一年]
樅の木物語 太田玉茗訳 [少年文集・明治三一年]
月物語 太田玉茗訳 [太陽・明治三二年]
浦づたひ 太田玉茗訳 [文芸倶楽部・明治三四年]
教会堂の古鐘 名川鴻河訳 [明星・明治三五年]
鉛の兵隊 藤井紫影訳 [帝国文学・明治三六年]
有声画 藤井紫影訳 [文芸界・明治三六年]
花物語 生田星郊訳 [明星・明治三六年]
腹黒き童 柴田守中訳 [明星・明治三六年]
月十図 藤井紫影訳 [帝国文学・明治三六年]
まっちの光 相馬御風訳 [明星・明治三六年]
鐘 川上桜翠・相馬御風訳 [明星・明治三六年]
水滴 松本信夫訳 [心の花・明治三七年]
雛菊 松本信夫訳 [心の花・明治三七年]
道化役者 梧桐夏雄訳 [明星・明治三八年]
月物語 悠々野夫訳 [新声・明治三八年]
白鳥物語 野尻抱影訳 [白百合・明治三八年]
隊商 梧桐夏雄訳 [明星・明治三八年]
画のない画本 山君訳 [心の花・明治三九年]
狂言/衣大名 杉谷代水訳 [早稲田文学・明治三九年]
御墓の薔薇 三浦白水訳 [心の花・明治三九年]
月物語(第十夜) 三浦白水訳 [心の花・明治三九年]
舞踏会 三浦白水訳 [心の花・明治三九年]
花の舞踏 三浦白水訳 [心の花・明治三九年]

明治翻訳文学年表(アンデルセン編)

『「少年文学」考』 榊原貴教
『明治翻訳文学の位相』 川戸道昭


第47巻 イプセン集
日本におけるイプセンは、新劇の興隆に大きな力となると同時に、女性解放運動に大きな役割を演じた。本巻にはイプセン紹介期の作品を収録する。明治二六年三月一日に、日本で初めて翻訳紹介された『国民新聞』所載の「棟梁ソルネス」の一節を初め、質軒訳「したたかもの」、古雪訳「人形のすまゐ」、皚峯訳「社会の敵」、敏訳「海の夫人」など一〇点余を収録する。

〔棟梁ソルネスの一節〕 無署名[国民新聞・明治二六年]
したゝかもの 岸上質軒訳 [文芸倶楽部・明治三○年]
人形のすまゐ 藤沢古雪訳 [新文芸・明治三四年]
社会の敵 森皚峯訳 [時事新報・明治三四年]
海の夫人 上田敏訳 [心の花・明治三八年]
ヘダ・ガブラア 千葉掬香・新井雨泉訳 [心の花・明治四○年]
ボオクマン 小杉乃帆流訳 [白百合・明治四○年]
脚本/蘇生の日 千葉掬香訳 [明星・明治四○年]
脚本/少アイヨルフ 兆木生訳 [明星・明治四○年]
水車の流 天沼匏村訳 [太陽・明治四一年]
『鴨』の梗概 稲田薄光訳 [新声・明治四二年]
「イブセン」の詩 田波御白訳 [東亜の光・明治四二年]

『西洋文学受容者としての高安月郊』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(九)
紹介『日本のイプセン現象・一九○六−一九一六』 小堀桂一郎

【明治翻訳文学と私】『妻に代えたる恋も尊し−抱月とノラ』 新谷雅樹

明治翻訳文学年表(イプセン編)


第48巻 ストリンドベリ集
ストリンドベリの翻訳は大正期に競うように複数の全集が刊行されるが、明治期にもイプセンの陰に隠れながら、上田敏、森鴎外が先駆となって翻訳が始まる。本書では敏の「北欧自然派の戯曲論」「父親」、吉田白甲「情火」、林久男「強者」、鴎外「一人舞台」などを新小説、新思潮、帝国文学、歌舞伎、女子文壇から収録。

北欧自然派の戯曲論 上田敏訳 [中央公論・明治三七年五月]
父親 上田敏訳 [新小説・明治四〇年一月]
情火 吉田白甲訳 [新思潮・明治四一年一月]
強者 林久男訳 [帝国文学・明治四二年一一月]
砂漠の夜 訳者不記[新思潮・明治四三年三月]
毒風 林久男訳 [歌舞伎・明治四四年一月]
一人舞台 森鴎外 訳 [女子文壇・明治四四年一月]
真夏の日 田波御白訳 [帝国文学・明治四四年七月]
友達 楠山正雄訳 [早稲田文学・明治四五年七月]
熱風 M.K生訳 [新日本・明治四五年七月]

『正宗白鳥から見たストリンドベリ』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十八)
【明治翻訳文学と私】『日本のストリンドベリ初演』 毛利三彌

明治翻訳文学年表(ストリンドベリ編)

ストリンドベリ翻訳作品年表(明治37年5月〜昭和18年4月)
 ― 『翻訳と歴史』 15号 掲載 ―


第49巻 メーテルリンク集
本書に収録した最初の翻訳は明治三五年に「女学世界」に発表された楠緒子の「をさな児の最期」だが、作者紹介には「原作者白耳義のシェークスピア」とある。その後、花袋、白鳥、孤島、梅渓、酔夢、敏などが訳し、本書には二七点を収録する。メーテルリンクの理想主義文芸思潮は、上田敏によって移植され、自然主義後退後の日本文学に大きな影響力を持った。

をさな児の最期 大塚楠緒子訳 [女学世界・明治三五年]
平和 田山花袋訳 [太陽・明治三五年]
メーテルリンクの劇詩「ペリアスとメリサンダ」 正宗白鳥訳 [新声・明治三五年]
マアテルリンクの脚本〔モンナ・ワンナの梗概〕 森鴎外訳 [心の花・明治三六年]
盲目 中島孤島訳 [太陽・明治三六年]
西班牙兵 田山花袋訳 [太陽・明治三八年]
モンナ、ワンナ 佐藤紅緑訳 [文芸界・明治三八年]
不朽の愛 高須梅渓訳 [太陽・明治三八年]
沈黙 西村酔夢訳 [太陽・明治三九年]
近代の戯曲 平野万里訳 [明星・明治三九年]
ひとるたま 上田敏訳 [心の花・明治三九年]
暗影(温室/火取玉/心/愁の室) 上田敏訳 [明星・明治四一年]
脚本/「莟の花」 千葉掬香訳 [明星・明治四一年]
時のうれひ(絶望) 折竹蓼峯訳 [文庫・明治四一年]
女 土岐哀果訳 [女子文壇・明治四一年]
顕現(畏怖) 内藤濯訳 [帝国文学・明治四一年]
「温室」(祈祷/たましひ/病院/めつき) 上田敏訳 [スバル・明治四二年]
冬の希望 広瀬青波訳 [アカネ・明治四二年]
闖入者 茅野蕭々訳 [早稲田文学・明治四三年]
青い鳥 金星草訳 [スバル・明治四三年]
温室より(影/午後/室のおもひ/疲労) 内藤濯訳 [帝国文学・明治四三年]
“Quinze Chansons”より 後藤末雄訳 [帝国文学・明治四三年]
戯曲 盲目 薮与太郎訳 [劇と詩・明治四三年]
家の内 一宮栄訳 [芸文・明治四四年]
日常生活の悲痛 和気律訳 [帝国文学・明治四四年]
室内 北沢貞造訳 [帝国文学・明治四四年]
タンタジルの死 金子範二訳 [太陽・明治四四年]

『メーテルリンクの受容(白鳥と天奚の周囲)』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十三)
【明治翻訳文学と私】『ユゴー「死刑囚最後の日」翻訳三態』 谷口靖彦

明治翻訳文学年表(メーテルリンク編)

メーテルリンク翻訳作品年表(明治35年〜昭和17年)
 ― 『翻訳と歴史』 16号 掲載 ―


第50巻 イタリア文学集
明治三一年「福音新報」に発表されたダンテの新発掘資料「通俗地獄廻り」を始めとするダンテ移入の草創期の翻訳と、「朝野新聞」「国民新聞」「世界之日本」「帝国文学」「文芸倶楽部」「スバル」「新文芸」などに掲載された明治・大正期の日本の文壇を風靡するボッカッチョ、ダヌンチオの翻訳併せて三〇点を収録する。

【ダンテ編】
通俗地獄廻り 秋月すみ子訳 [福音新報・明治三一年]
びるぜん祈祷 上田敏訳 [心の花・明治三五年]
神曲の哀歌 英男訳 [文庫・明治三八年]
神曲 高田梨雨訳 [明星・明治三九年]
ありとあらゆるわが思 上田敏訳 [明星・明治四〇年]
ダンテ詩選 上田敏訳 [家庭文芸・明治四〇年]

【ボッカッチョ編】
指環ノ裁判 山王山下の木葉天狗訳 [朝野新聞・明治一九年]
牧婦 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二五年]
十日物語之中/可憐鷹 宮崎湖処子訳 [国民新聞・明治二五年]
手むけの草 平田禿木訳 [世界の日本・明治二九年]
五彩雲(覿面/名ごりの花/夢のうつゝ) 太田玉茗訳 [文芸倶楽部・明治三〇年]
めぐりあひ 太田玉茗訳 [文芸倶楽部・明治三〇年]
まごゝろ 太田玉茗訳 [文芸倶楽部・明治三二年]
女の鑑 浅野馮虚訳 [新文芸・明治三四年]
拾日物語 高田梨雨訳 [明星・明治四一年]
喜劇/三箇條 尾崎紅葉訳・栗嶋狹衣脚色[文芸倶楽部・明治四二年]

【ダヌンツィオ編】
鐘楼 上田敏訳 [帝国文学・明治三三年]
艶女物語 上田敏訳 [帝国文学・明治三三年]
花園 たそがれ訳 [明星・明治三六年]
おばしま 梧桐夏雄訳 [明星・明治三七年]
ひつじ草 梧桐夏雄訳 [明星・明治三七年]
庵室 梧桐夏雄訳 [帝国文学・明治三七年]
春曙夢 大久保雨枝訳 [心の花・明治三八年]
燕の歌 上田敏訳 [明星・明治三八年]
光明道(篠懸/シォパンの即興楽をきゝて) 上田敏訳 [明星・明治三八年]
日影の花 まぼろし訳 [白百合・明治三八年]
生なる死 水木英夫訳 [新声・明治四一年]
ぢあるか 狭野茨園訳 [アカネ・明治四一年]
ふらんちぇすか物語 石川戯庵訳 [スバル・明治四二年]
戯曲/秋夕夢 森鴎外 訳 [歌舞伎・明治四二年]

『正宗白鳥とダンテ』 中林良雄
     ―西洋文学受容史のために(十七)
【明治翻訳文学と私】『明治文学とイタリア語イタリア文学』 灰谷慶三

明治翻訳文学年表(ダンテ編)
明治翻訳文学年表(ボッカッチョ編)
明治翻訳文学年表(ダヌンツィオ編)


別巻1 明治期翻訳文学総合年表 別巻2 総目次・総索引
編集 川戸道昭・中林良雄・榊原貴教
B5版 上製 別巻2冊セット定価 本体35.000円+税

別巻T【明治期翻訳文学総合年表】
収録範囲:明治元年〜明治45年
収録点数:4500点
構成:各年ごとにイギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、ロシア、その他、合集に分類して発表月順に収録
訳名/訳者/刊行者(新聞雑誌の場合は、紙誌名)/原著者/原著名/注記

●原著者・原著を可能な限り明示した初めての詳細年表
●単行書に収められている翻訳作品の明細をすべて収録
●西洋文学の各作家・作品の初訳を数多く更新した研究成果を盛り込む
●研究の立ち後れていた北欧・南欧・東欧の作家作品を調査・発掘して収録
●単独でも活用できる一大資料

別巻U【明治翻訳文学全集《新聞雑誌編》 総目次・総索引】
●総目次と、翻訳作品・訳者索引・新聞雑誌名索引と合わせ全50巻を活用しやすくしました。
●全50巻に付した解説・エッセイは明治期翻訳文学の最新成果であり、執筆者別にもまとめて掲載しました。
●年表・目録書誌は、総合編・作家編に分類し、600点に及ぶ文献を収録。明治期翻訳文学の研究史が概観できます。



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