2009年11月刊行

   日本の翻訳文学は、世界の文学を俯瞰する


 図説 翻訳文学総合事典 全5巻 


 企画 ナダ出版センター
 編著 川戸道昭・榊原貴教


 【B5判上製 本体価格 全巻セット 120,000円+税】



各巻・内容


第1巻 図録日本の翻訳文学/図説日本翻訳文学史   川戸道昭著
翻訳文学史は20年間の調査研究による最新の研究に基づき著述する。
江戸・明治・大正・昭和期に刊行された翻訳書の中から 、時代を画した書、装幀のすぐれた書、未発表の発掘書を満載する。

第2巻/第3巻 原作者と作品(1)(2)   榊原貴教編
研究が進んでいる英米仏独露は重視するが、北欧・南欧・インド・中国およびアラブ・アフリカ等の第二次世界大戦前に日本語で翻訳された作家・作品を広く探査し、翻訳の視点から世界文学事典を編集する。
この二巻は、先に刊行した『図説 児童 文学翻訳大事典』との重複を最小限とし、両事典によって世界文学の作家像の変遷を集成し、初訳作品とその後の翻訳の動向を辿る。

第4巻 原作者と作品(3)/シリーズ叢書・全集総覧
叢書・全集は、時代の趣向を示しているので、代表的な叢書の編集方針と細目を洗い出し、また読者の作品イメージ形成に大きく寄与しているカバーや巻頭口絵は、可能な限り紹介する。
  附
  @明治期の西洋文学移入資料
  A明治期の訳者別翻訳年表

第5巻 日本における翻訳文学(研究編)
翻訳文学研究の総合的研究

収録執筆者(論文)
第1部
 井上健(外国語と母語との対話─谷崎潤一郎と佐藤春夫の翻訳)
 柳父章(翻訳でつくられた「カセット文」)
 及川茂(美術の文化交流)

第2部
 千森幹子(明治の『ガリヴァー旅行記』とポストコロニアリズム―巌谷小波の『小人島』『大人國』を中心として)
 安井泉(キャロルと翻訳の問題)
 水間千恵(大正・昭和初期における『ピーター・パン』受容の一面)
 藤野紀男(マザ ー・グースの翻訳小史)
 東山あかね(日本におけるシャーロック・ホームズ その受容の歴史)
 柳富子(明治・大正期の チェーホフ)
 相沢直樹(三つの『その前夜』─明治期におけるツルゲーネフの翻訳と受容をめぐって)
 私市保彦(大岡昇 平とバルザック―『武蔵野夫人』と『谷間の百合』をめぐって)
 稲垣直樹(ユゴーと日本)
 柏木隆雄(ゾラと日本)
 野呂正(日本のドン・キホーテ)
 樽本照雄(清末民初の翻訳小説と日本)
 三宅興子(イソップ寓話における図像の移植とそ の日本化─『通俗伊蘇普物語』と「金の斧 銀の斧」を題材として)
 斉藤恵子(新約聖書のたとえ話―「放蕩息子」を読む )

第3部
 松村昌家(明治初期の翻訳とヴィクトリア朝文化―『花柳春話』を中心に)
 林原純生(Nihilistsと明治文学)
 堀啓子(筆の魔術師・黒岩涙香―進化する翻訳)
 堀啓子(尾崎紅葉の『金色夜叉』―ストーリーテリングは時空を越えて)
 山田奈々子(翻案小説の口絵考―バーサ・M・クレイと富岡永洗)
 山本いずみ(モルグ街の異形―榎本破笠「蔦紅葉」に ついて)
 金子幸代(森鴎外の翻訳と『沈黙の塔』―「危険なる洋書」・発禁問題・メディアとの争闘)
 藤元直樹(文芸翻 訳家としての渋江保)
 府川源一郎(明治初期翻訳啓蒙書と子ども読み物)
 原 昌(近代児童文学作家と翻訳文学)
 高橋 洋子(高橋五山と紙芝居の世界)





本書の特徴

 1.歴史事典としての翻訳文学事典―翻訳の視点から俯瞰する初めての文学史
日本近代文学は西欧文学をモデルとして創成し、独自の道を開拓してきた。その独自性の模索の過程がより鮮明に遺産化されているのが、翻訳文学である。文学書出版の低迷はとりもなおさず、現代文学の低迷を象徴しているが、その低迷は文学の質の変化と共に、出版文化の大衆化迎合に起因している。この事情を解明し、文学の復権を再構築するために「翻訳歴史事典」を編集する。

 2.世界文学を網羅する翻訳事典―1000年の歴史を100年に凝縮した文学事典
欧米文化はもちろん、アジア・アラブ世界の文学は、明治・大正・昭和戦前期にそのほとんどが、日本で翻訳・紹介された。世界の文学は、日本の翻訳文学に凝縮された。世界を俯瞰するとは、翻訳を通暁することに等しい。翻訳された原作の作家・作品は、古代から近代を扱う。第二次世界大戦以降に初めて紹介された作家は、現代文学事典に譲り、本書では取り扱わない。

 3.本書は、挿絵・装幀を重視する。―装丁・口絵・挿絵を満載する美術史事典
現代はビジュアル化の時代であるという。大衆文化はいつの時代も視覚的であった。異文化の受容と普及もまた視覚的な文化であった。読者は装幀で購買意欲をかき立てられただけでなく、挿絵のイメージによって異文化の物語を理解してきた。日本の翻訳文学は、この意味で「挿絵と装幀」の歴史でもあった。

 4.初訳とその後の翻訳史をたどる翻訳事典―翻訳に見る文化史事典
外国文学との出会いは初訳に始まる。本書はその初訳の発掘に努め、同時にその後の日本での定着過程をたどる。その方法としては、作品母国語による正確な翻訳への発展史的な追跡ではなく、読者の立場に立つ文化史的方法を選択する。それはとりもなおさず、複層化した現代文化を解きほぐす糸口になると考えるゆえである。

 5.第一線研究者による研究事典―30名の研究者が寄稿する翻訳文学論集
従来の事典項目の域を越えて、各執筆者が現在の翻訳文学に対する関心と問題点を、最新の研究成果を踏まえて30名の専門研究者が論ずる1000枚を超える文学論集




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